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みんなの診察室より「ピロリ菌」
    東成区医師会 理事 川上 朗
 
 これまで胃の中は強い酸性状態なので、細菌は存在しないと思われていましたが、約20年前に細菌がいることが発見されました。この菌が、らせん形(ヘリコ)で胃の出口(ピロリ)付近に多くいることから、ヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)と命名されました。その後この菌が胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因の一つとなっているということ、明らかになりました。また最近では、胃癌への関連性が報告されています。
【感染経路】
ピロリ菌は、食べ物や飲み水から感染すると考えられており、小さい時に感染する場合が多く、特に先進国の中では日本で感染率が高く、60歳以上の健康な人で感染率は約60%と報告されています。しかし、ピロリ菌に感染すると胃炎を起こすことは確認されていすが、すべての人が潰瘍になるのではなく、潰瘍の再発や治りにくさに関係してきます。
【菌の検査】
内視鏡で胃粘膜を採取して、「培養法」「鏡検法」「迅速ウレアーゼ試験」などで菌を調べる方法や、内視鏡をせずに血や尿からピロリ菌に対する抗体を調べる「抗体検査」方法、また息「呼気」から尿素が分解されたのを測定する「尿素呼気試験」などがあります。いずれも保険適応なっている検査法です。内視鏡や胃透視(バリウム)で胃・十二指腸潰瘍と診断された患者さんを対象として行なうことになっています。
【除菌療法】
2000年11月から除菌療法が保険の適用となりました。抗生物質を2種類と胃酸を抑える薬とで計3種類の薬を1日2回に分けて連続7日間内服します。使用する薬は、従来からあったもので、他の病気で広く使われているものです。しかし飲む量が多い分、普通の使い方に比べると、副作用の現れる可能性は多少高くなります。また2つの抗生物質にアレギーのある方は服用できません。
【除菌療法の副作用】
1. 軟便下痢 一番多い副作用で約1/3の人に認められ、整腸剤や薬を減量すれば継続できますが、血便に至るまでの腸炎を生じた場合は中止となります。
2. 味覚異常(食べ物の味がおかしい、苦味などを感じる)、舌炎(舌がしびれた感じなど)、口内炎が約1/10の人に起こることがあります。
3.肝機能異常や発疹などの過敏症
【除菌判定の検査】
すべての治療が終了して、4週間以上経過してから、ピロリ菌がいなくなったかどうかを前述の検査方法で調べます。除菌に成功した例では、再発予防のための医薬を必要としなくなることもありますが、逆に胃酸分泌が回復したために、一時的に軽い逆流性食道炎が生じることもあります。症状は軽く薬で軽快します。
【除菌不成功】
除菌の成功率は約90%ですが、不成功の時は時期をおいて同じ薬で量を増やしたり、一部の薬を他の薬に変更して再度内服します。以上、ピロリ菌について書きましたが、潰瘍で薬を内服中の方や潰瘍を再発し
易い方は、かかりつけ医に除菌療法の適応について相談してください。