NO.101
2011年5月 『血圧の薬』
    東成区医師会理事 林 正則
 
「血圧を下げる薬を飲み始めると一生やめられないからのみたくない」
診療所で血圧の薬の話が出ると、ほぼ半数以上の患者さんからこのような言葉が聞かれます。これは本当なのでしょうか?高血圧が体に及ぼす影響としては、脳内出血など出血の危険性、動脈硬化などからの脳梗塞や心筋梗塞、心臓・腎臓への負担などがあげられます。高血圧そのものは症状が出にくいため放置されがちですが、知らず知らずのうちに前述のような命にかかわる病態を引き起こすため、サイレントキラーともよばれます。診療所の先生に高血圧を指摘されると、走って診療所にきた、今日仕事がしんどかった、昨日寝ていない、先生の前で緊張しているなどの理由をつけて自分が決して高血圧ではないと主張される患者さんもおられます。高血圧を長く放置していると、血管が動脈硬化などで傷んでしまい(血管が弾力性を失う)、薬をのんでも血圧が低下しにくくなり、結果的に何種類もの薬剤を服用せざるを得ない状態になってしまいます。血圧が高いことに気づいた時点でまず生活習慣の改善をすることが重要です。塩分取りすぎ、肥満、禁煙、ストレス、睡眠不足などに注意し、それらを改善するよう努めることが重要です。それでも血圧があまり低下せず、生活習慣の改善が困難であれば、躊躇せずに血圧の薬をのみましょう。比較的早めにお薬を服用し血圧が正常化すると、一時的に薬を減量でき、休薬することが可能な場合もあります。薬を一生のまないといけないという伝説にこだわり薬をのまないでいると、結果的に動脈硬化に伴う合併症である脳血管障害や心臓疾患の危険性が増します。高血圧も病気ですから、早期発見早期治療の観点から早めに服薬を開始してみることも大切な場合があります。もし、診察の際に高血圧の可能性を指摘されたら、根拠のない伝説にとらわれることなく、医師と相談 して適確な治療を受けるようにお勧めします。