NO.109
2012年1月 『HbA1cについて』
    東成区医師会理事 萩原 辰男
 

 HbA1cは「ヘモグロビン エーワンシー」と呼び、糖尿病の診療のなかで血糖コントロールの指標としてひろく用いられています。糖尿病はわが国で増加の一途をたどり、H19年の国民調査で糖尿病が強く疑われる人が約890万人、糖尿病の可能性が否定できない人が約1320万人、合わせて約2210万人となり、とんでもない事態に陥っていることが判りました。大食いで、太っている人が糖尿病になるのだと考えられていた時代がありましたが、それは誤りで我々は欧米人と違い、膵臓からのインスリン分泌能力が弱いため肥満にならなくても容易に糖尿病を発症してしまいます。脂肪の摂取が増えると、糖尿病になり易くなります。1970年代から急速に食事の洋風化が進み、残念ながら現在の食生活は脂質の摂取量が多く、このままでは今後も糖尿病患者さんは増えていくものと思われます。糖尿病は自覚症状に乏しく、余程悪化しないと倦怠感、多尿、口渇、体重減少は出現しません。糖尿病の合併症も初めの間は何の症状もありません。成人の3~4人に一人の割合で糖尿病の予備軍以上の人がいるわけですから、皆さん自身もそうかも知れません。では、自分が糖尿病の可能性があるかどうか、どのように調べたらよいのでしょうか? いちばんのお勧めは血液検査でHbA1cを測定することです。血糖値を測ることも重要ですが、軽症の糖尿病では空腹時血糖は正常範囲内であることが意外に多く、見逃しにつながります。HbA1cは患者さんの平均血糖値と良く相関しており、血糖コントロールが悪化していると高値になります。H22年夏に、糖尿病の診断基準が変更になり、HbA1cが6.1%以上を糖尿病とすることが加わりました。(正常は概ね5.8%未満です。)もし、HbA1cを調べたことがなかったり、以前調べて5.5%以上の値であったならば、ぜひとも調べるようにしてください。また、なによりも糖尿病にならないように脂肪の摂取量に気をつけてください。既に糖尿病と診断された方はカロリーコントロールを心がけ、決して放置しないで治療を続けてください。