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2003年11月 みんなの診察室より『アルツハイマー病について』
    東成区医師会 副会長  野中 志郎
 
 痴呆には、脳血管性痴呆とアルツハイマー病とがあり、従来日本では、脳血管性痴呆がアルツハイマーよりはるかに多いとされているが、高齢化社会になった現在では、アルツハイマー病が増加しつつある。今回は、このアルツハイマー病を取り上げ簡単に述べさせていただきます。

 アルツハイマー病とは、進行性痴呆をきたす原因不明の脳の変性疾患であります。アルツハイマー病は、欧米では痴呆の70%以上を占めるとされ、その原因解明に向けて研究は着実に進んでいます。しかしながら、現在のところ、いまだに原因不明であるアルツハイマー病の脳の病理所見の特徴は、脳神経細胞の脱落と、老人斑、神経原繊維変化の多発である。老人斑には、βアミロイド蛋白からなるアミロイドという不溶性物質が沈着している。これが病因解明の鍵として研究されている。アルツハイマー病の症状は通常記憶障害から始まり次第に理解力低下、思考力低下、自発性低下が起こり進行すると、性格変化、無関心がみられる。神経伝達物質は、脳神経細胞の脱落に比例して全体的に低下するが、記憶に密接に関係しているアセチルコリンの低下が最も著名である。

【経過予後】

緩徐であるが、痴呆が確実に進行し異常行動が増加し、日常生活に介護が必要となり、最後には寝たきり状態で無言無動となり、肺炎などの合併症で死亡する。発症から死亡までの期間は平均5年とされているが個人差が大きい。

【症状の特徴】

 ほとんどの例では、健忘症状で発症する。物忘れが徐々に進行し、計算間違いやむずかしいことが考えられなくなる。などの症状が表れ、やがて判断力、理解力の低下が明らかとなり、日常生活に支障をきたすようになる。

【一般的治療】

 原因不明のため進行を抑制あるいは遅らせる治療法は現在のところ開発されていない。対症療法としては、減少した脳内アセチルコリンを増加させる目的で抗コリンエステラーゼ阻害薬が開発されているが、効果は今ひとつである。デイケアなどを利用したメンタルヒハビリテーションが重要であるが、いずれにしろこれといった治療法は今のところありません。