NO.114
2012年6月 『下肢静脈瘤に対するレーザー治療について』
    東成区医師会理事 岩本 伸一
 

 「先生!静脈瘤にレーザー治療があるって聞いたんですけどどんな治療ですか?」という質問を外来で受けました。以前にこのコーナーで下肢静脈瘤についてお話させて頂きました。今回はその続きです。これまでのお話は下肢静脈瘤は動脈瘤と違い生命に関わるような重症の病気ではないこと、しかしながら下肢のむくみ、だるさ、熱感、潰瘍などを生じ、美容上も気にされる方が多く、罹患率も高いことなどについてでした。その病態は静脈の弁不全によって生じ、治療法としてはストリッピング手術、血管結紮術、硬化療法、弾力ストッキングの着用などがあります。ところが最近これらの治療に加えレーザー治療が行われるようになってきました。
 下肢静脈瘤のレーザー治療には、静脈にレーザーファイバーを挿入して治療を行う血管内レーザー焼灼術と、体の外からレーザーを照射する体外照射レーザー治療があります。血管内レーザー焼灼術は主に、伏在静脈瘤などのような、足の表面が浮き出た血管に適用され、悪くなっている静脈に細いレーザーファイバーを挿入し、レーザーで静脈の内側を熱で焼き、閉鎖させてしまう治療法です。傷跡も目立たず出血の危険性もほとんどないというメリットが望めます。体外照射タイプ治療とは、下肢静脈瘤の中でも「網目状静脈瘤」「クモの巣状静脈瘤」といった径3㎜未満の細かい静脈瘤に適した治療法です。以前はこうした細かいタイプの静脈瘤の治療には、硬化療法が主流としておこなわれてきましたが、より体に優しい治療として脚光を浴びてきています。また、伏在静脈の分枝に発生する静脈瘤には、硬化療法と体外照射レーザー治療を組み合わせることによって、より効果的な治療を行うことも可能です。
 下肢静脈瘤に対するレーザー治療で現在保険適応となっているのは血管内レーザー焼灼術(波長980nm)のみであり、より有効である他の波長のレーザーや体外照射レーザー治療は保険適応にはなっておりません。
 レーザー治療は最近になり脚光を浴びてきましたが、これまでのストリッピング手術や血管結紮術、硬化療法が否定されたわけではなく、新しい選択肢として提示されているだけです。治療の有効性確実性としてはストリッピング手術にまさるものはなく、メリット、デメリットを充分理解された上で治療法を選択されることをおすすめします。詳しくは専門医にご相談ください。