NO.122
2013年3月 『CKDをご存知ですか?』
    東成区医師会会員 飯盛 幸雄
 
 慢性腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全、糖尿病性腎症といった病名はよく知られている。これらの病名は尿蛋白、血尿、血液検査や時には腎生険の病理学的所見といったいろいろな切り口から診断される。しかし10年前頃に上記のような個々の腎臓疾患は単に“尿蛋白や腎機能低下が3か月以上続く状態”であるからCKD(慢性腎臓病)と呼称するように提唱された。最近では一つの独立した診断名に近い位置を占めるようになっている。CKDは現在増加する腎透析導入、心血管疾患に対して“末期腎不全対策”“心血管系対策”として作られた予防医学的概念から発せられたキャンペーン的な病名である。それ故、早期介入の必要性を訴えたメタボリックシンドロームによく似ている。我が国の末期腎不全患者は年々増加し、国民の500人に1人にあたる約25万以上の人が維持透析を受けている。このような透析患者には心血管病が高頻度に発症することが知られている。さらに最近では透析前の末期腎不全に至らなくても、軽度の腎機能低下や蛋白尿(すなわちCKDの存在)が認められれば心血管系発作や死亡発症に至る大きな危険リスクとなることが明らかになった。CKDの患者数は1,330万人以上と推計される。すなわち1330万以上の人が心血管系疾患発症のリスクをかかえている計算になる。そういった事実から今や糖尿病と同等かあるいはそれ以上の疾患と考えざるを得ない。しかしCKDは尿検査や血液検査で偶然発見されたとしても自覚症状を伴わないこともあって積極的に受診し治療をうけることが少ない。CKDは進行する疾患であること、急性死亡に至る心血管病を誘発する潜在的なリスクを持っていること、しかし早期に発見し治療・管理を受ければ心血管病発症の予防が可能であること、そのため糖尿病治療と同じように長期にわたり治療・管理あるいは指導を受ける必要があることを周知していただきたい。