NO.123
2013年4月 『飛蚊症(ひぶんしょう)について』
    東成区医師会理事 新名 健治
 
 目の前に小さな蚊が飛ぶように見えることはありませんか。形は点であったり線であったり輪であったりします。「私もあるから大丈夫よ」なんて声もよく聞きます。ちょっと待ってください。怖い病気が隠れていることがあります。
 若いときには眼の中の硝子体(しょうしたい)というコラーゲンと水の成分が眼の中に詰まっていて、網膜(もうまく)という神経の膜を守るようにくっついています。これが年齢とともにコラーゲンが減るために少しずつはがれていき、あるとき視神経(ししんけい)にしっかりとくっついていた部分が完全にはなれてしまいます。これを後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)といいます。このはなれたコラーゲンが見えるのを生理的飛蚊症(せいりてきひぶんしょう)といいます。50・60代にピークがありますが、近視の強い方は20代でもおこります。これだけなら問題ないのですが、まれに硝子体が網膜を引っ張り網膜に穴が開いてしまうことがあります。これを網膜裂孔(もうまくれっこう)といいます。穴が開いただけの状態で見つけることができると、外来でレーザー(網膜光凝固術)処置ですむことも可能です。網膜の穴から水が回り込み、網膜剥離を起こすと手術をしないと治らないことがほとんどです。しかも網膜は神経の膜です。網膜剥離になった網膜は時間とともに神経が傷んでいきます。時間が経ってから手術で治しても視力は戻りません。できるだけ早くの手術が必要です。
 生理的現象で誰にでも起こる後部硝子体剥離から網膜剥離について書きましたが、飛蚊症は他の病気で起こっている可能性もあります。眼の中の炎症(ブドウ膜炎や血管炎)や眼底出血などでも飛蚊症はおこります。このような症状が出た場合は、必ず一度は眼底検査「散瞳検査」(さんどうけんさ)が必要です。とにかく症状があれば早くに眼科受診するよう心がけてください。