NO.13
2004年1月 みんなの診察室より『プライマリ・ケアを知っていますか』
    東成区医師会理事  中村 正廣
 
  あなたの「かかりつけ医」が行っている診療のことです。風邪にかかったときやお腹の調子が悪いとき、ちょっとした怪我など最初に診てもらうお医者さんが行う診療が「プライマリ・ケア」と言います。診療所の看板に内科や外科などの看板がかかっていますが、「かかりつけ医」でとりあえず診てもらい、専門的な治療が必要なとき紹介をしてもらうのが今の医療のシステムです。

なぜ開業医の先生によって「科」が違うのか?それは開業する時点で、専門科目を標榜しなければならないからです。医師が卒後受ける研修システムが、かかりつけ医(初期の救急対応や幅広い医療の提供など)になるための研修ではなく、大学や病院に勤務しながら、選んだ専門の「科」を勉強し研修を積んで来ました。多くは、学生時代に臨床実習で全科を回り一通り教わりますが、医師免許を持っての研修ではないため、「かかりつけ医」になるための十分な医療技術を身に着けていた、とは言えなかったのです。

しかし、区民一人一人が「かかりつけ医」を持ち、すべての医療相談を受けるために、医師は病気だけを診るのではなく、病気を持った人を診る「全人医療」を心がけなければなりません。開業をして地域医療を行うには、専門科の医療は勿論、より幅広い医療にかかわる相談を受け対応しなければ、「かかりつけ医=プライマリ・ケア」にはらないのです。そのために、医師会は、開業医を対象に「生涯教育講座」を開き、多くの先生が「プライマリ・ケア」を修得し日々、勉強しています。

ところで、平成16年度より、卒後臨床研修の制度が変わり、地域医療研修(プライマリ・ケア研修)の必修化が始まります。「全人医療」の教育を臨床の場、すなわち大学や大病院だけではなく、患者さんの地域に近い開業医の中でも行われるようになります。2年後の平成17年度より、医師になっての年月のあさい先生が、研修指定医を受けた開業医の先生の横にいて、診察や診療の勉強をするようになります。勿論、患者さんの診療の妨げにならないよう充分な配慮のもとで行われますが、患者さんにも、立派な「かかりつけ医」を育てる気持ちで診察を受けていただきたいものと思っています。

「かかりつけ医」を持ち、患者・医師が一体となって日本の医療を育て、健康の不安を減らすようにしたいものです。さて我が身のことを考えると、私には「かかりつけ医」がいなかったなあー。