NO.131
2014年1月『結核は忘れたころにやってくる』
    東成区医師会理事 増田 清和
 
 最近はインフルエンザ(季節型や新型)に国民の関心がいっているせいか、
他の感染症には余り無関心というのが事実ではないでしょうか。われわれ医療従事者もその例に漏れません。つい先日も医師や看護師が単なる風邪と思って放置していたのが結核と判り、集団感染を引き起こしてしまったことがあります。私自身これまでの医師としての経歴において、勤務医時代に小児の結核患者(肺炎として入院治療したが、結核と判明)を治療したのはたった1例のみですから(小児の発症患者の絶対数が少ないこともありますが)、結核に無関心になるなと普段自戒していても、見過ごしてしまう危険性は大いにあります。確かに以前は亡国病と恐れられた結核ですが、今は人口10万人に約17人くらいまで減少し、平成24年度の統計では新規の結核登録患者は全国で約2万1千人に過ぎません。これをまだ多いとみるか少ないとみるかは見解が分かれるところでしょう。しかし、日本では乳児には生後5か月から8か月の間(予防接種法の改正により、昨年4月からこの期間を標準接種期間とし、特別な事情がない限り生後1歳までに接種することに変更になりました)に結核の予防ワクチンとしてBCGを接種し、その発症を最小限に食い止めています。これを実施することで、小児の結核性髄膜炎や粟粒結核の発症を有意に減少させていることが証明されています。
 結核は決して過去の病気ではなく、今もなおその脅威は衰えていません。天変地異と同じく忘れたころにやってくるのです。だからといって、不必要に恐れることはありませんが、その備えとしてきちんとBCGも含めた各種の予防接種をした上で、なおかつ親御さんにお願いしたいことは、乳幼児を人ごみの中に長時間連れて歩くことを是非とも避けて欲しいということです。この点、十分留意して頂きたいと願っています。