NO.139
2014年9月『ピロリ菌と胃癌』
    東成区医師会理事 前田 史一
 
ピロリ菌という言葉を最近ではテレビなどでよく聞くことがあると思いますが、どんな菌か知っていますか。
ピロリ菌は胃の中に生息する菌です。
胃の中は胃酸のため強い酸性になっており通常の菌は死んでしまいます。しかしピロリ菌は酵素で胃液の中の尿素を分解しアルカリ性にして、自分の周りだけ胃酸を中和してしまい、生きることができています。
この菌は口からの感染でピロリ菌が胃の中にいる人は口の中もいて唾液を介して感染することがあります。日本は衛生状態が整っているので減少傾向にはあるものの、50歳以上は感染している割合が非常に高くなっています。
さらに胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者は 90%がピロリ菌感染陽性となっており潰瘍の原因となっていることが多いことがわかっています。ピロリ菌がいると潰瘍が治っても 1 年後に再発する人が 6~8 割といわれていますが除菌すると潰瘍の再発は 1 割以下になります。
早期胃癌に対して胃内視鏡を受けた患者にピロリ菌を除菌することにより別の部位から新たに胃癌が発生する率も 3 分の 1 に減ることが分かっています。ピロリ菌感染することにより生じる胃炎は通常自覚症状が乏しく、感染していると胃癌になりやすいこともわかっており、除菌により胃炎の進行を予防することより胃癌の発症も抑制できるというわけです。
ピロリ菌検査法は胃内視鏡によるもののほか呼気で調べる方法と血液、尿でも調べられます。ただ血液や尿で調べる方法は簡単ですが、抗体検査なので過去の感染でも陽性になってしまいます。現在、ピロリ菌検査は保険では初回は胃内視鏡での検査になっており胃癌の早期発見だけではなく、ピロリ菌検査をすることにより胃癌の予防にもつながる有意義なものになっています。除菌成功率は 70%ほどですが飲み間違えや飲み忘れることで失敗の率は増えてしまううえに抗生剤耐性の菌ができてしまうことがあるので十分に説明を聞き服用してください。
除菌が成功しても胃癌が発見されることはあります。定期的な胃内視鏡検査を受けられることをお勧めします。