NO.14
2004年2月 みんなの診察室より『褥瘡治療への取り組み、その現状について
〜床ずれ(=褥瘡)の悩みは専門医に〜』
    東成区医師会理事  野崎 俊一
 
在宅介護あるいは老人医療の現場でよく問題になる事象に褥瘡があります。褥瘡と言われても中にはピンとこない方もおられるかも分かりませんが、いわゆる床ずれのことで、とくに寝たきりの老人には、避けて通れない、医療上の大きな問題点です。

ひと昔前は「看護の恥」などと言われ、看護者や介護者の怠慢が原因のように言われていましたが、最近では、褥瘡は、低栄養、意識状態の低下、あるいは関節拘縮などの患者さん自身あるいは患者さんのおかれた環境の問題がいわれるようになり、褥瘡の治療は当然のことながら、看護師だけでなく、医師、薬剤師、ケアマネージャーさらには栄養士などの協力が不可欠と考えられるようになりました。

医療の現場においても、そういう考えが徐々に一般化しつつあり、全国規模の学会である日本褥瘡学会も今年で第5回を迎え、特に、病院に、褥瘡を管理するチームとその構成員による褥瘡委員会の設置が厚生労働省の指導等により義務付けられてからは、医師だけでなく、看護師、介護士等のコメディカルの参加が目立つようになっています。学会では、どちらかと言えば、今まで医療の世界では陽の目を浴びることが少なかった褥瘡治療に関して、(これは、われわれ医師の治療に対する消極的な態度が原因だったとも思われますが)活発な意見交換がなされ、さまざまな患者さん、またさまざまな病期の褥瘡に対する治療のEBM(Evidence Based Medicine;根拠に基づいた医療)が示され、褥瘡治療のスタンダードがかたまりつつあります。

治療にかかる労力と時間等のことを考えるとまだまだ大変なことの方が多いですが、良い薬剤も次々に発売され、またさまざまな環境整備も整いつつありますので、もしお悩みの方がおられましたら、お近くの専門医にお気軽に相談されることをお勧めします。