NO.141
2014年11月『もやもや病について』
    東成区医師会理事 別所 啓伸
 
 もやもや病は日本で発見された脳の血管の病気で、欧米と比較してアジア系民族に約 10 倍多く報告されています(日本は最多、次いで韓国に多い。)。この病気の年間発症率は 0.35/10 万人と多くありませんが、最近脳ドック等で症状のないもやもや病が発見されることも増えてきています。また、やや女性に多いとされ、姉妹発症や、母―娘発症などの家族発症が約 10%あります。
 人間の脳を栄養する動脈は、左右の内頚動脈、椎骨動脈の計 4 本ありますが、もやもや病では左右の内頚動脈の末端が徐々につまっていくのです。脳の主要な血管が詰まっていくので脳血流が不足し脳梗塞を起こしたり(虚血型)、不足した血流を補うために新しく発生した細い動脈(この細い動脈が、脳血管造影検査にて、煙がもやもやしているように見えたためもやもや病との名前が付けられました。)が破綻して脳出血を起したりします(出血型)。
 好発年齢には二つのピークがあり小児で発症(5 歳前後がピーク)する場合と成人にて発症(30~40 歳代がピーク)する場合があります。小児発症では、虚血型をとることが多く、過換気の状態が一過性に脳血流を低下させることにより症状を誘発するとされ、典型的には「ラーメンを息でさまそうとした時」や「笛やハーモニカなどを吹いている時」などが挙げられます。成人発症では、前述の不足した血流を補うために新しく発生した細い動脈(もやもや血管)が破綻することによる脳出血が多いとされています。突然の激しい頭痛、嘔吐や手足の麻痺等で発症します。
 症状からもやもや病が疑われた際のスクリーニング検査としては、核磁気共鳴血管撮影(MRA)、核磁気共鳴画像(MRI)が適しています。
 もやもや病に対する根本的治療は確立されていませんが、脳虚血発作に対しては、脳表の血管に対する血行再建術(バイパス手術)が有効です。
 以上、もやもや病について簡単に述べましたが、この病気は、幅広い年齢で発症する可能性のある脳血管障害であり、しかも最近では脳ドック等により発見される頻度も増えてきており、是非とも記憶しておいて頂きたいと思います。