NO.145
2015年3月『肩こり』
   

東成区医師会理事 野中 藤吾

 
「あ~肩がこる」とうい言葉を皆さんこれまでどれ位使われたでしょう?これまで肩がこったことがないという人には、私はこれまで会ったとはありません。肩こりは厚生労働省の国民生活調査で国民愁訴第二位の症状なのです。ちなみに第一位は腰痛、第三位は関節痛であり、運動器の疾患が一位から三位を占めています。肩こりとは頚部から肩周囲の筋肉に詰まったような、こわばった感じや不快感、重苦しさや痛みにいたる症候の総称なのです。この症状に対する原因には諸説あるものの、同じ姿勢をとり続けるなどして頭や腕を支える筋肉の持続的緊張によって筋肉が硬くなり、局所に循環障害が起こり、それによって酸素や栄養分が末端まで届かず、疲労物質が蓄積しこれが刺激となって肩こりを起こすと考えられています。実は「肩こり」は日本独特の表現で、外国にはこの様な表現を示す言葉はないのです。肩こりという言葉を最初に使った人は夏目漱石であり、小説『門』の中に使用されたのが初めてとされています。余談ですが、漱石はその他にも「浪漫、流石、新陳代謝」等の言葉も作ったと言われています。前述したような原因で起こる肩こりはストレッチや温熱療法で大半は軽快することが多いですが、皆さんは肩こりだけで病院や診療所を受診されますでしょうか?たいていは接骨院等に行かれてマッサージや温熱療法等を受けられると思います。ところが肩こりの中には非常に危険な病気も潜んでいるとこがあります。特に左側の持続する肩こりの中には狭心症や心筋梗塞といった命に関わる疾患が原因で起こっていることもありますし、左側でなくても、持続する肩こりの中には消化器や呼吸器(まれに肺癌)等の病気が潜んでいる可能性もあります。強い肩こりが持続する場合には、一度、医療機関への受診をお勧めします。