NO.150
2015年8月 『お変わりありませんか?』
    東成区医師会 浅井 晃
 
 診察室で最初に交わされる会話です。皆さんは何と答えられていますか。変わった事は色々あるけど、どれを言えば良いのか迷っておられるのではありませんか。殆どの方は、今治療を受けている病気と関係がありそうな事柄について思いを巡らせ、少し考えてから「何も変わりはありません」と答えておられる様に思います。もしくは、自身で感じている変化を、「更年期だから」とか、「いい年になったから」とか、もっともらしい理由を見つけて、納得しておられるのではないでしょうか。
 どのような変化をかかりつけ医に伝えれば良いのでしょう。実はこれが意外に難しいのです。身体に現れている変化が病的なのか、そうではないのかの判断は、診断に向けての第一歩としてとても重要な意味を持っています。疾病において身体に現れる病的変化についての医学では、「症候学」という一つの学問があるくらいですから、決して簡単ではなく奥深いものがあります。これを極める事が出来れば、それだけで正しい診断にたどり着くことも可能となるのです。全く関係が無さそうな些細な変化が、病気の重要なサインである事があります。例えば、心臓もしくは膵臓の障害で左の肩に鈍痛を感じる等と言われるのはその例としてとても有名です。これを関連痛と言いますが、逆に左の肩こりがあれば、必ず心臓や膵臓に問題がある訳ではありません。だから判断が難しいのです。
 どんな僅かな変化についても自分で適当な理由付けをしない方が良いのです。どのような時にその変化に気づいたか、その変化は一回だけでなく繰り返すのか、またはどうすれば再現出来るか、または和らげたり回避する事が出来るか、等々はその変化の本質を知る上で大変重要な情報になります。注意してメモに残しておいて、かかりつけ医に相談されると良いでしょう。