NO.154
2015年12月 『インフルエンザと風邪』
    東成区医師会 理事 林 正則
 
 今年もインフルエンザワクチンの接種時期がやってきました。患者さんの中にはインフルエンザワクチンをまだ「風邪のワクチン」と誤解している方がおられます。インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスなのですが、いわゆる風邪には多くの種類のウイルスが関与しますので、インフルエンザのように相手をしぼれません。そのため風邪のワクチンは存在しないのです。そもそもインフルエンザと風邪は原因も症状も異なるものなのです。インフルエンザは、感染した人の咳、くしゃみなどに含まれるインフルエンザウイルスを吸い込むことで感染し、そのウイルスが 1-3 日の潜伏期間の後にのどや気道で急激に増えます。インフルエンザに感染すると高熱、関節痛、筋肉痛や全身倦怠感が急激に現れます。一般的に風邪は微熱、のどの痛み、鼻水、鼻づまり、咳、くしゃみなどといった症状が主ですが、インフルエンザは全身の症状で現れるのが特徴です。小さな子供たちや抵抗力が弱い人では脳症など重症化することもあります。これからの季節、感冒症状に加えて悪寒を伴うような高熱や全身の痛みなどがあればインフルエンザの可能性が疑われま
す。
 インフルエンザワクチンを接種しておくとインフルエンザウイルスに感染した時の症状が軽くなったり、重症化を防ぐ効果があります。ただ、誤解していけないのは、ワクチンを接種することがインフルエンザウイルスの感染予防にはならないということです。ワクチンを接種したのにインフルエンザにかかる人は多くいらっしゃいます。感染予防には、人ごみを避けること、マスクをすること、手洗いうがいをすること、空気の加湿などが重要です。ワクチンをうったからといって安心せず、流行期間は感染予防に留意してください。さらに、抗インフルエンザ薬の効果も発症後 48 時間以内とされているので、インフルエンザが疑われる場合は早めにかかりつけ医を受診するようにしましょう。