NO.155
2016年1月 『迅速検査キットと感染症』
    東成区医師会 理事 大野 雅文
 
 迅速簡易検査キットの開発で容易に感染症の診断ができるようになってきましたが、検査をする時期によっては陽性率が低かったり、保険適応が制限されているものもあります。今回は迅速診断キット検査が治療上有意義と思われる順に感染症を列挙してみます。
  1. A群溶連菌感染症
    特効薬は抗生物質(1〜2週間服用)。
    検査キットの陽性率は高く、ウィルス感染症との鑑別が必要で検査が有効な感染症。

  2. インフルエンザ
    抗インフルエンザウィルス薬が有効。
    発熱などの症状発現後12〜24時間経過してようやく陽性率が上がる。48時間を過ぎると保険適応外となる。

  3. マイコプラズマ感染症
    有効な治療薬(抗生物質)がある。
    検査キットの陽性率が低いため症状・治療経過から診断することが多い。

  4. RSウィルス感染症
    特効薬なし。対症療法のみ。
    発熱・喘息様の咳が特徴。乳児が重症化しやすい為、検査キットの保険適応は1歳未満の児など。

  5. ヒトメタニューモウィルス感染症
    特効薬なし。検査の適応は肺炎例のみ。

  6. アデノウィルス感染症
    ①咽頭・扁桃炎、プール熱や肺炎などの呼吸器感染②流行性角結膜炎などの眼症状③嘔吐・下痢などの胃腸炎④出血性膀胱炎など多彩な症状を起こす厄介なウィルス。特効薬なし。検査キットの陽性率は低い。

  7. ノロウィルス胃腸炎
    食中毒による集団発生が社会的に問題。
    感染力は強いが数日で改善。特効薬なし。検査キットの適応は3歳未満と65歳以上。

  8. ロタウィルス胃腸炎
    感染力は強い。特効薬なし。
    乳児の初感染では長期化・重症化しやすい。経口生ワクチンによる予防効果がかなり出ています。
治療上、検査が有用なのは上記1〜3の感染症。4〜8の感染症ではあまり有意義な検査とは言えません。陽性率も低く、陰性でも否定はできません。したがって、十分な休養、手洗い・うがいと確実な消毒(次亜塩素酸ナトリウム)が重要です。