NO.164
2016年11月 『滲出性中耳炎について:乳幼児期の治療を中心に』
    東成区医師会理事 柳英博
   
[定義] 中耳(鼓膜内)に滲出液が溜まった状態をいいます。
全ての年齢層に発症しますが子どもに多いのが特徴です。
大人では片側もありますが、子どもでは大半が両側性です。
[臨床経過] 放置すると鼓膜が陥没したり、長期の難聴による発育障害や慢性中耳炎になることもあり、注意が必要です。
[原因と症状]

子どもでは、中耳炎が長引いたり、耳管の機能不全 (耳抜きが上手くできない)による中耳換気障害が主な原因です。
症状は難聴が主ですが、乳幼児では訴えが少なく、返事が悪くなったりテレビの音を大きくしたりしてまわりの大人が気がつく事が多いようです。

[診断] 顕微鏡で鼓膜の陥没や、鼓膜内に貯留液が認められます。
また、鼓膜の可動性を検査するチンパノメトリーや聴力検査で判断します。
[治療方法]
  1. 学齢期になると治癒することが多いので、保存的治療が基本になります。
    耳管機能に影響する鼻咽頭の炎症を取り除くため鼻ネブライザー、耳管通気を中心に行います。必要な場合は投薬も行います。
  2. 難聴が(30〜40 デシベル以上)顕著な場合は鼓膜切開が必要になり、切開後も再発する場合は細いシリコンチューブを留置するケースもあります。
  3. アデノイド肥大が耳管を圧迫している場合や、口蓋扁桃が感染を繰り返している場合は手術による切除が必要な場合もあります。
[最後に]

子どもの場合は慢性化するため長期の治療が必要です。根気強く通院する事が大切です。
特に風邪などによって鼻汁、鼻閉などの鼻症状がある場合は急性中耳炎や滲出性中耳炎への影響が強く耳鼻科受診をお勧めします。外科的治療の目的は慢性中耳炎である癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎の予防と難 聴の持続による発育への悪影響を防ぐ事が目的であることをご理解ください。