NO.165
2016年12月 『お膝の水を抜くとクセになる?』
    東成区医師会理事 宮﨑義雄
 
 変形性膝関節症と言われるお膝の軟骨がすり減る病気を患っている人は全国で3千万人にものぼると言われています。これを読まれている方の中にも痛み止めのお薬を飲んだりリハビリをしたり、サポーターをつけたり、あるいは最終的に手術を受けられたりと何だかの膝の治療を受けられている方がたくさんおられるのではないでしょうか?
 このお病気の症状に「水が溜まる」というのがあります。ちまたではよく「水を抜くとクセになるから水は抜いてはいけない」などと聞くことがありますが、果たしてそれは誰がいっているのでしょうか?少なくとも整形外科の医師でそのようなことを口にしている方は一人もいないのではないでしょうか?
 医学的には溜まっているお水のことを「関節水腫」と言います。軟骨がすり減ったお膝に無理がかかったり、すり減った軟骨の破片自体が悪さをしたりして、膝に炎症が起こった結果として水が溜まります。膝の軟骨がたくさんすり減った人の方が、水がたまりやすいわけではありません。ですからあまり磨耗がひどくない人でも炎症が起これば水は溜まります。つまり、医師が水を抜いたから溜まるのではなく、膝に炎症が起こっていれば水は溜まるのです。
 わずかな量の水であれば放置しても構いませんが、外から見てもわかるぐらい水が溜まるとそれは自体が痛みになります。場合によっては膝が曲がりにくくなってしまうこともあります。そのような場合には水を抜いただけで症状が楽になる場合もあります。もちろん水を抜いた後にまた水が溜まることがありますが、それは先程述べたように膝の炎症が続いているために繰り返し起こっているので、その他の治療も並行して必要になる場合があります。自己判断せずにきちんと医師に相談し、判断してもらうようにしましょう。