NO.171
2017年6月 『かくれ心不全』
    東成区医師会理事 大野 雅文
 

全身に血液を送る心臓のポンプとしての働きが弱くなる状態を心不全と言います。
高齢化や生活習慣の欧米化に伴う高血圧、糖尿病、脂質異常症やメタボリックシンドロームなどの増加により、心不全は増加の一途をたどっています。これらを治療せずに放置していると、心臓に負担がかかって心不全状態になり、息切れ、動悸、むくみや疲れやすいといった症状が出てきます。その前の段階を『かくれ心不全』と言います。
心不全へと進んでいく過程を4つのステージA~Dに分類して治療の指標にしています。

ステージA
(心臓の障害もなく心不全症状もみられていない状態)
高血圧・糖尿病・高脂血症や肥満などの生活習慣病の人。「かくれ心不全」と言われている時期です。

ステージB
(心臓に何らかの障害があるが心不全症状のない時期)
心筋梗塞の既往や弁膜症・心筋症・心房細動などの不整脈で心臓に障害や変化が起こっているものの自覚症状がない状態。

ステージC
(心臓に障害があって心不全症状が出ている状態)
ステージBの原因疾患を発症し、動悸や息切れなどの心不全症状を自覚している時期。

ステージD
(治療に対し抵抗性が出て改善が期待できない)
極めて治療が難しい末期的心不全の状態。

このように心不全症状が出る前段階すなわちステージAのかくれ心不全の段階で血圧や血糖値などのコントロールを十分にすることが、心不全の原因となる心筋梗塞などの発症を減少させることができますし、ひいては心不全の発症や進展も遅らせることができます。
一年に一回は必ず健康診断を受け、もし異常値が見られれば放置せずにかかりつけ医と相談してください。自覚症状のない『かくれ心不全』の状態かもしれません。質のいい生活が送れる様に健康管理に注意して下さい。