NO.174
2017年9月 『夏の脳卒中』
    東成区医師会理事 別所 啓伸
 

脳卒中と言えば冬に多い印象があるかもしれませんが、夏に発症する脳卒中も決して少なくありません。国立循環器病研究センターの統計(2008年~2011年)によると、センターに来院された脳卒中患者様の内、脳梗塞に限ると、実は夏の方が患者数が多いことが判明しました。その原因としては、気温の上昇により、汗を多くかき、体内の水分量が減ることにより血液の粘度が増加し血液の塊ができやすくなるからであると考えられます。
 夏の脳梗塞の予防としては、水分が不足しやすい就寝前・起床時、入浴の前後、飲酒中・後、運動前・中・後に、たとえ汗をかいていなくても早めに、そしてこまめに水分補給をすることです(ただし、腎臓病や心臓病などで医師から水分摂取について指示がある場合はその指示に従ってください。)。
 水分補給をしていただくうえで、ぜひとも知っておいていただきたいことがあります。それは、アルコールや多量のカフェインを含む飲料は、利尿作用(体内の水分を尿として排泄するのを促進する作用。)があるため、水分補給としては適していないという事です。極端な例ではありますが、就寝前にビールを飲んで水分補給したつもりが、利尿作用により脱水となり、朝目が覚めると脳梗塞になっていた、という場合もあり得ます。
 もちろん、全身の動脈硬化を促進する高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満・高尿酸血症といった生活習慣に関逓した病態が存在すれば、まずその管理・対策が重要であることは言うまでもありません。
 あとしばらく暑い日が続くと思われますが、このような時期には、生活習慣病の管理・対策に加えて水分補給が重要となりますので、上述の水分が不足しやすいときに、水を飲むことをぜひとも習慣づけるようにしましょう。