NO.177
2017年12月 『貧血の種類と対応について』
    東成区医師会理事 左川 均
 

病院を訪れる患者様の年代により貧血の原因は様々ですが、主訴としては、皆さん息切れ、めまい、胸痛など同じような訴えが多いものです。例えば胸がドキドキすると言って来られた20代の女性の場合には多くは鉄欠乏性貧血です。そしてその原因が婦人科的疾患、例えば子宮筋腫に伴う過多月経あるいは胃潰傷や十二指腸潰傷による消化管出血があります。ところが年齢を経て50歳以降になりますとしだいに大腸がんなどの出血による貧血、橋本病や甲状腺機能低下症による貧血など原因も様々です。
 最近、特に目立つのは骨髄異形成症候群による貧血が増えてきました。この疾患は、鉄分はしっかりあるのですが血液を作る骨髄で十分な造血が行われず未熟な血球が増えます。次第にゆっくりと貧血が進行しある程度まで進まないと症状も出にくい疾患です。しかも厄介なのは赤血球だけでなく白血球の形態や機能異常を示すので、抵抗力が落ちたり血小板まで低下するため出血傾向まで出現します。健診を受けられたら貧血だけでなく実は白血球や血小板の数、あるいは白血球の分類まで目を通しておくといいでしょう。
 何となく体がだるく手足が浮腫む場合に一度はこの病気を思い出してみてください。甲状腺機能低下症でも同様の症状が出ますが、甲状腺治療薬に反応しないこと、さらに鉄分を投与しても改善しない事、最終的に浮腫みや息切れなどの症状がひどくなりますのでその場合には専門医を是非受診してみてください。 新しいお薬も開発され私が大学病院にいた頃よりずっと治療もしやすくなりましたが、やはり早期診断が何よりも大事です。その理由に骨髄異形成症候群は様々な状態が存在し、さらにこの病気では進行すると白血病に近い状態(RAEB)に移行または、白血病になってしまう場合すらあります。
 超高齢化社会に突人した日本で今後、増えていく病気であることはこの病気が高齢者に多いことが特徴であることからも窺えます。健診を受けたら経年的に検査結果の変化を確認しておくのも大切なことでしょう。