NO.18
2004年6月 『こどもの脳をテレビから守ろう』
    東成区医師会理事  増田清和
 
 つい先頃、日本小児科学会および日本小児科医会は、こどもたち(とりわけ乳幼児)がテレビ中毒に陥っていると異例ともいえる警告を発しました。これは、4か月児の半数がテレビの前に1日3時間以上いること、また7割以上のお母さんがテレビを見ながら授乳しているという生活実態調査に基づいています。こうしたテレビの見過ぎによって、ことばの発達の遅れや視線が合わないといった訴えが急増しているらしいのです。以前、生後直後から始まる赤ちゃんと母親とのスキンシップ(母子相互作用といいます)が保てないことで生じてくる、サイレントベビー症候群(笑わない、視線が合わない、呼び掛けに応じない、無表情といった兆候)が話題になりましたが、テレビの見過ぎによって乳幼児の脳がなんらかの異常を来たしていることが判明したのです。

 赤ちゃんの脳細胞は生まれる前に140億あり、3歳までに急激な発達を遂げるといわれています。つまり、ことわざにいう『三つ子の魂百まで』ははっきりとした根拠があるのです。この3歳までの間に受ける脳のストレスの度合いによって、脳が十分に発達できるかどうかが決まってしまうといっても過言ではありません。脳が十分に発達していくには、十分な栄養はもちろんですが、なによりも母親と乳幼児とのスキンシップが不可欠です。乳幼児は視覚や聴覚ではなくて、臭覚や皮膚感覚(触覚)を通して脳の中でも大脳辺緑系(情感を司る)の発達を促していきます。大脳辺緑系の十分な発達がなければ前頭葉(知能)の十分な発達もありえません。従って、この時期にテレビによる視覚や聴覚の機械的な過度の刺激を与えることは脳の発達にとって決して好ましいことではないのです。

 どうかお母さん、テレビを消してじかにこどもと触れ合うこと、こどもにことばをふんだんに語りかけることを心がけて下さい。