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2004年11月 『過敏性腸症候群について』
    東成区医師会理事  深田 裕美子
 
 皆さんは子供の頃に緊張すると下痢をしたり、環境が変わると便秘をして苦労した経験はありませんか。腸と自律神経が密接な関わりをもっている事を、皆さんは知らず知らずのうちに体験しているのです。

 近年ストレス社会となり、それに伴って過敏性腸症候群の発生率が増加傾向にあります。予備軍まで入れると6人に1人とまでいわれています。過敏性腸症候群とは腹痛と下痢・便秘などの便通異常が慢性的(1ヵ月以上)に持続する疾患で、多くの腹痛は排便により改善がみられます。もちろん検査では症状を説明できる腹部の病気は認めません。ストレスが大きく関与しているため、特徴的な事は、眠っている時やストレスの少ない休日(家庭にストレスの原因がある方は逆ですが)には症状が軽減もしくは消失し、平日の朝が最もひどく、中にはすぐにトイレに行けないような電車に乗れない、通勤、通学ができない等、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。

 ここまでで「もしや?」と心当たりのある方は、似たような症状を呈する他の病気もありますから、まずは自分で判断せずかかりつけ医に相談してみましょう。

 治療はストレスを遠ざける事が1番ですが、難しい場合には下痢止めや緩下痢・整腸剤・吸水性ポリマー等症状を改善する薬や、ストレスや不安を緩和する薬が有用です。それでも改善の悪い場合には心理療法を受けることが勧められます。日常生活では規則正しい生活を心がけることや暴飲暴食は避け、脂肪分・乳製品は摂りすぎないように気をつけます。また、ストレスをうまくコントロールできるよう、定期的にホッとできる休憩の時間を作りましょう。生命に関わる悪い病気ではなく、基本的には一生続く病気ではないという事も理解し、病気自体にストレスを持たない事も大切と言えるでしょう。