NO.30
2005年6月 『自己免疫性肝障害』
    東成区医師会副会長 野中志郎

 自己免疫性肝障害には、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎があり、これらにつき簡単に述べさせていただきます。

1.自己免疫性肝炎

   女性に多く認められる原因不明の肝炎で、その発症には自己免疫機序が関わる。  臨床的には、血清r-グロブリン高値、抗核抗体などの自己抗体陽性所見、治療上、副腎皮質ステロイドが著効を示すなどの特徴を示す。多くの自己免疫疾患と同様に女性に好発し、発症には遺伝素因の関与が指摘されている。わが国では、慢性肝疾患の  80%は肝炎ウイルス感染が原因となっており、自己免疫性肝炎の頻度は5%以下と少ないが、欧米では慢性肝疾患の主たる原因として重要である。

  自己免疫性肝炎では、ウイルス性肝炎に比し発熱などの全身症状を呈することが多く他の自己免疫性疾患の合併頻度が高い。経過は慢性で最終的には肝硬変に至る。

2.原発性胆汁性肝硬変

   中年女性に好発し、肝内外胆管に機械的閉塞を認めないにもかかわらず慢性肝内胆汁うつ滞を呈する疾患でありその発症には自己免疫機序が関与すると考えられている。

  慢性の胆汁うつ滞から徐々に胆汁性肝硬変に進展する。

  症状としては皮膚掻痒感、中黄疸であるが、全く症状を有さず偶然の機会に診断される例も多い。

3.原発性硬化性胆管炎

   肝外および肝内の胆管に炎症性の線維化が生じ、徐々に胆道狭窄、閉塞をきたし二次性胆汁性肝硬変に至る疾患であるが発性頻度はきわめてまれである。

  原因不明であるが免疫異常、遺伝的要因、感染などが考えられている。

  男性に多く発症し、男女比はおよそ2:1である。

  原因が不明であるため肝移植以外には有効な治療法はない。