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2003年4月 みんなの診察室より『女性の尿失禁』
    東成区医師会理事  光林 茂
 
 女性の尿失禁にはいくつかのタイプがあります。圧倒的に多いのは腹圧性尿失禁(約70%)であり、次いで多いのは切迫性尿失禁(約15%)です。この代表的な2つの尿失禁についてお話したいと思います。腹圧性尿失禁は咳、くしゃみ、運動などによって腹圧が上昇した時に、膀胱の周りの腸管が膀胱を圧迫するために起こる尿漏れのことを言います。切迫性尿失禁は膀胱壁を形成する排尿筋の機能異常のために、膀胱が勝手に収縮するために起こる尿漏れです。このタイプの患者さんの典型的な訴えは「突然尿意が襲ってきて、トイレに間に合わず、尿が漏れてしまった」というものです。
女性の尿失禁の頻度は約30%と考えられており、20歳代では10%以下と低いですが、高齢者では40%以上の高率になります。尿失禁の治療は他の多くの病気と同じようにj、薬物療法と手術療法に分けられます。尿失禁の重症度、患者さんの好み、年齢、選択する治療法の有効率などを考えて治療方針を決定します。切迫性尿失禁の場合、手術療法の適応は殆どありません。薬物療法の有効性は60〜80%とかなり高率ですが、高齢者の場合、まれに尿閉(膀胱に貯まった尿が出なくなること)などの重篤な副作用が発生するため、注意が必要です。腹圧性尿失禁の治療は症状が軽度ないし中等度なら薬物治療が中心です。その有効性は約50%で、閉経後で萎縮性膣炎や萎縮性膀胱炎に罹患している患者さんには女性ホルモン剤が有効なこともあります。薬物療法が無効であったり、重症の患者さんは手術療法の適応になります。手術方法は開腹手術に代わって最近では開腹しない膣式手術が主に行われています。さらに内視鏡を使い、切開することなく膀胱の出口にコラーゲンを注入する手術が手技の簡便さから注目されています。有効率は膣式手術で50〜80%、コラーゲン注入手術で30〜60%と言われています。骨盤底筋体操や電気刺激装置を使った理学療法を併用するとさらに効果的と考えられます。尿失禁は決して恥ずかしい病気ではありません。前向きな気持ちで泌尿器科専門医に相談されることをお勧めします。