NO.41
2006年5月 『女性の尿失禁』
    東成区医師会理事  古武 敏彦


尿失禁とは自分の意に反し尿が漏れることで、男性に比べ女性に多く、中年以上、特にお産を経験した女性では30〜40%にもみられる頻度の高いものです。尿は腎臓で作られ尿管を通って膀胱に溜まります。充満すると脳に伝わり尿意を感じ排尿の指令が出て膀胱の出口と尿道が開き、膀胱が収縮し、尿が排出します。この排尿の仕組みのどこかに問題があると排尿障害や尿失禁が起こります。尿失禁の原因は色々ありますが次のようなタイプに分けられます。?腹圧性尿失禁:咳、くしゃみ、笑う、重いものを持ち上げる、スポーツなどお腹に力が入った時に尿漏れが起る。膀胱や尿道を支えている骨盤底の筋肉群がお産や女性ホルモンの不足で衰え弱くなるために起こるもので女性に最も多い尿失禁のタイプです。A切迫性尿失禁:急に強い尿意を感じ、我慢できず尿漏れが起こるもので、脳と膀胱の神経的連携の障害や膀胱の病気(膀胱炎、膀胱結石など)による膀胱の過敏な収縮が原因です。B溢流性尿失禁:膀胱の収縮障害で尿が充満し、チョロチョロと常に尿漏れをみるもので、膀胱の神経障害が原因です。Cその他に高齢者、認知症、服用薬(高血圧、精神神経系)などで排尿の仕組みに異常なく尿失禁を起すこともあります。診察に際しては、先ず失禁状況、回数、程度、治療中の病気、服薬状況、身体状況、生活状況など注意深く問診することが大切です。次いで尿検査、失禁尿量、残尿量、膀胱容量、尿の出方の検査、内診などを行います。排尿の時間、尿量、尿失禁の回数、飲水量などを詳しくつける排尿日記が役立ちます。尿失禁の治療は種々あり必ずしも容易ではありませんが、失禁のタイプにより尿道を収縮させる薬や膀胱の過敏収縮を抑制する薬、時に女性ホルモン剤などによる薬物療法が行われます。同時に、骨盤底の筋肉群を鍛える体操を行います。これは肛門周囲の筋肉を強く締め5秒間保持し、緩めるもので、これを10回ずつ異なった姿勢(仰向け、ひじ、ひざをついて、机に手をついて、椅子に座ってなど)で行うもので、非常に有効です。高度な失禁にはカテーテル療法や手術療法などがあります。