NO.52
2007年4月 『東成区には脳卒中と大腸癌の末期の方が多い』
    東成区医師会理事   中村 正廣


平成20年春には、75歳以上の「後期高齢者保険」という制度が発足し、皆さんが「かかりつけ医」を持ち登録をして、その医師に病気や健康管理を受ける制度が発足するようです。すなわち、医療費抑制を踏まえて、病気予防とその治療に一段と踏み込んだ制度となりそうです。

ところで、病気予防をするための手段として、検診制度があります。一昨年末に、大阪府立成人病センターが、「統計でみる大阪府のがん」の題名で大阪府民の癌の実態調査を公表しました。その中で、東成区民の生活習慣病とがんの現状にも説明が及びました。

それによりますと、全国大都市の中で大阪府民の平均寿命は最も低く、また府民の検診受診率は、男女とも各種がん検診で、全国でも最下位近くを推移していました。特に、府民のがん年齢調整死亡率は、男女とも全国トップ。この不名誉は1985年以来継続していて、部位別では肝がん、肺がん、女性の食道がんの死亡率がとりわけ高いのです。一方、全がんの死亡率の年次推移は、男性では漸増傾向でしたが、最近はやや減少傾向。女性では横ばいから減少傾向。臓器別で見ますと、肺がんでは、罹患率(病気にかかる率)と死亡率(病気で亡くなる率)が平行して増加しています。男性では肺がんの罹患率が一時減ってきていましたが、タバコの消費量が少なかった世代の影響のためか、今後、再び上昇するものと思われます。肝がんはC型肝炎(HCVのウイルス保持者)が減りつつあり、死亡率は減少してきています。

ところで、東成区民の主な生活習慣病(癌も含む)の死亡者は多くの死因において府全体を上回っていて、特に、特に脳卒中(脳出血や脳梗塞)と大腸がんの罹患率と死亡率が著明に高く、その他、肝臓がん、乳がん、虚血性心疾患(心筋梗塞)、自殺が多い、とのことでした。すなわち、脳卒中は、高血圧などによる動脈硬化を放置もしくは充分な治療を受けていないこと、また便潜血検査、すなわち大腸がんの検診を受ける方が少ないことが考えられています。

実は、予防的医療が医療費を下げることは、まだ証明されていません。しかし、このような病気が多いことから、区民一人ひとりが「元気で長生き」を目標に、食事や運動習慣の健康管理に関心を持ち、親身になってくれる「かかりつけ医」を決めること、そして、積極的に検診を受け治療を受けられることが大事なのです。そして、その先生に、定期的に現在の生活や今後の治療の相談をされることが、今後の医療費や介護負担への不安を少しでも軽くして住み良い東成区で安心して暮らすことが出来るのでは、と医師会は考えています。