NO.61
2008年1月 『気分障害について』
    東成区医師会理事   柴山 岳史


 気分障害は現代病とも言われています。効率重視の産業社会の中で、自分のペースを保てず心身を消耗させてゆく人が増えています。このような世の中を生き抜くためには、自分の感情も含めてすべてを社会に合わせてゆかなくてはならない部分もあります。気分障害とは、そのような過剰反応に対して、心身が限界にきていると警告のサインを発している状態といってよいのかも知れません。気分障害には大きく分けて躁とうつを繰り返す双極性障害とうつのみの単極性障害があります。精神科における治療では、まずその患者さんにとって効果のある薬をみつける作業が最優先されます。

双極性障害に対しては、気分安定薬が効果をあげています。この薬は躁とうつの気分の波をなだらかにする作用や再発予防効果があります。炭酸リチウム(商品名リーマス)がまず第一に選択されることが多いですが、カルバマゼピン(商品名テグレトールなど)、バルプロ酸(商品名デパケンなど)が効果的な場合もあります。これらの薬は、血中濃度の管理や副作用への注意が必要ですので、医師による慎重な処方が求められます。

 双極性障害でも単極性障害でも、うつ状態には抗うつ薬が効くことが知られています。最近ではSSRIやSNRIといわれる新しいタイプの抗うつ薬が用いられることが多くなっています。又不眠などの睡眠障害が生じることが多いので、睡眠薬もしばしば使用されます。

 しかしこのようなお薬をのんでも、休養をとらなければ効果が十分に現れません。風邪薬をのんだ後に、薄着でいては、風邪が治らないのと同じです。「薬と休息」これが気分障害の治療の基本となります。