NO.66
2008年6月 『赤 と 白』
    東成区医師会理事  長田 栄一


 魚には赤身と白身があります。と言ってもお刺身のお話ではありません。

“赤身”は赤筋線維が優勢で、長い時間の移動に適した筋肉です。マグロがその代表です。

“白身”は白筋線維が優勢で、短時間の移動(運動)に強い筋肉ですが、長時間・長距離の移動(運動)には向きません。代表はヒラメです。

人間の場合はどうでしょう? 両方の色の筋線維を有しますが、赤筋が優勢です。それは、長い時間の運動に適していることを意味します。つまり、歩くことに向いているのです。

古代、遺伝子的に2本足で立って歩く能力を有した人間は、その能力を生かし、広域にわたり移動する必要があった狩猟生活にも適応し、より安定した生活を営むことが出来たと考えられます。“歩く”ということで、身体の構造および機能が進化を遂げてきたといっても過言ではないでしょう。

従って歩くことが如何に人間にとって大切であるかがわかると思います。

運動=スポーツ、すなわち、激しい運動と考えられがちですが、歩くことをないがしろにしたとき、生活習慣病やメタボリックシンドロームといった不健康な状態に陥るのです。何事に対しても便利になり過ぎた現代の生活環境がもたらす問題とも言えます。また、長い間歩かないでいると、身体的機能が弱ってしまいます。特に、高齢者はたちまち足腰が衰えるので注意が必要です。

“運動不足”とよく耳にする言葉ですが、この“運動”こそが“歩く”ことなのです。

長時間立っていられない、長い距離を歩けないと感じたら、その人は、もはや、不健康な状態に陥りかけていると思って下さい。