NO.7
2003年7月 みんなの診察室より『女性はどうして長寿か
    東成区医師会副会長  澤見 和郎
 
  ご存知の様に、現在女性の平均寿命は男性に比べ約7才も長いと言われています。

 どうしてこのような差が出るのでしょうか。男性は危険職についたり、暴飲暴食など無茶をする、ストレスも多いなど女性よりハンディーはあると思いますが・・・それだけでしょうか?

 皆様は医療機関で血液検査データをもらった事がありますか?正常値をみますと、男性と女性の値が異なっている事に気付かれましたか?例えば尿酸・γ‐GTP・・・など男女差が明らかです。暴飲暴食だけの原因ではないと考えられます。

 一つの例として尿酸があります。尿酸の高値が続きますと、心・血管障害の原因となる事は既に判っております。尿酸の値は、女性は男性に比べ平均約2r/dl程度低く出ています。これも閉経前後で少し異なり、閉経後は次第に男女差が少なくなり、70才前後で差がなくなります。尿酸の産生量は男女差がないとされていますので、女性ホルモンが尿酸クリアランス(腎臓を1回通過する際にろ過される事)を上昇させ、尿酸の排泄を増し、血液中の尿酸値の上昇を抑えているといわれています。その結果、閉経後女性ホルモンが欠乏し、たとえ高尿酸血症になってもその経過期間が短いため、男性に比べ痛風になる率は極めて少ない(全体の5〜10%)訳です。

 即ち女性では尿酸による心・血管障害の発生率は少ないことになります。ですから女性に痛風が出る場合は利尿剤を使っているか、腎機能障害の有無について、更に検査の必要があります。この事は尿酸だけに止まらず高脂血症についても同様のことが考えられ、閉経後の高脂血症についても男性に比べ期間も短くそのリスクは低いといわれており、女性の閉経後の高脂血症による心筋梗塞の発生も極めて少ないと言われています。しかし閉経後の高脂血症の治療は必要で特に高血圧・糖尿病を併発している人は更に厳しいコントロールが必要です。

 このように女性ホルモンという強い味方があり、長寿が達成されているのかも知れません。