NO.70
2008年10月 『最近の救急医療に思うこと』
    東成区医師会理事 野普@俊一


最近、新聞紙上で、よく救急医の減少や救急医療の崩壊などの見出しを目にします。

救急医療に携わるものの一人として、思いつくままに書かせていただきたいと思います。

まず、世間でもよく言われるように、それほどの重症ではないのに、タクシー代わりに救急車を呼ぶ患者さんが、少なからず存在します。なかには、救急車で行けば、即、診察してもらえるから、などと考えている人もおられるようです。また、一概には言えませんが、特に、時間外に、精神科疾患を有する患者さんや、泥酔者の救急車依頼が増える傾向にあり、救急隊員も、そういう患者さんの対応に追われる現状にあります。そのために、本当に、救急車が必要な患者さんが、後回しになっている可能性もあります。また、救急搬送以外に、時間外にこられる患者さんの中にも、「三日前から、痛かったから」とか、「今やったら、待ち時間なしに診てもらえるから」とか、「すぐに、いろんな検査をして欲しい」とか、「専門の先生は居ないのか」等々、勝手気ままなことを、言われる方もおられます。現場の救急医の疲弊ないしは減少はこのあたりに原因があるのではないかと考えないではいられません。今現在、第一線の救急医として、厳しい労働環境に耐えて頑張っている医者が、こういう一部の不心得な患者さんのために、その労働意欲(患者さんの命を何とか救おうと頑張る気持ち)を無くしているとしたら、日本の救急医療の将来は、極めて心配です。私は、やはり、国や政府が、今の状況を充分理解し、救急医療や現場の救急医の立場にたった政策を実行していただきたいと思いますし、患者さんのモラルの向上も、お願いしたいと思います。そのうえで、日夜、寝食を忘れて、目の前の救急患者さんのために、懸命に頑張っている救急医に、エールを送りたいと思います。