NO.71
2008年11月 『糖 尿 病』
    東成区医師会理事 西井  聡


 最近、糖尿病の人が増えてきた、と実感しています。糖尿病は血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなることにより、数多くの合併症を引き起こします。合併症としては、糖尿病性網膜症により失明したり、糖尿病性腎症により腎不全となり透析をしなくてはならなくなったり(透析の原因疾患では糖尿病性腎症が第一位です)、糖尿病性神経症により足が化膿しても痛みがないために糖尿病性壊疽をきたし、足を切断しなければならなくなったり、心筋梗塞や脳梗塞をきたしたりします。

糖尿病がこわい病気なのは、よほど重症にならない限り自覚症状がほとんどないからです。健康診断などで高血糖や糖尿病と言われたことがあるが症状もないので放置していたところ、突然、眼が見えなくなったり、心筋梗塞や脳梗塞を起こしたりします。糖尿病での初めてのはっきりした症状が心筋梗塞の発作という人もいるのです。

さらに、正常と糖尿病の中間の境界型糖尿病(いわゆる前糖尿病状態)の段階で、心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクが高くなっております。

それでは、どれ位なら糖尿病を心配しなくてはいけないのでしょうか?血糖値の正常値は、空腹時(前日の夕食後、なにも食べなくて朝食を食べずに採血した場合、水は飲んでもOKです)110mg/dl未満です。空腹時血糖126mg/dl以上が2回あれば、糖尿病と診断されます。中間の110〜126mg/dlの血糖値が境界型糖尿病です。食後では、食後2時間の血糖値が140mg/dl未満が正常。200mg/dl以上が2回あれば糖尿病と診断されます。又、尿糖の検査が陽性の場合も糖尿病の疑いがあります。

糖尿病を正確に診断するためには、ブドウ糖負荷試験を行ないます。これは空腹時にブドウ糖液を75g飲んで、飲む前と飲んで30分後、1時間後、2時間後の血糖と、血糖を下げるホルモンのインスリン値を測定します。2時間値の血糖が200mg/dl以上であれば、糖尿病の確定診断となります。

糖尿病に高血圧や高脂血症という病気を合併していれば、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性病変を起こすリスクはさらに高くなります。

健康診断などで尿糖陽性や血糖値が高いといわれた場合は、お近くの医療機関を受診し精査しておく方が良いと思います。

追記

空腹時血糖110mg/dl未満が正常と書きましたが、これは日本糖尿病学会の診断基準によるものです。一部の糖尿病の専門医では、空腹時血糖106mg/dl以上あれば、要注意という意見もあります。本院でも空腹時血糖106〜110mg/dlの値の人に前記のブドウ糖負荷試験を行なったところ、ほとんどの人が、糖尿病か境界型糖尿病という結果が出ました。しかし、これはまだ少数意見ですので、今回は、空腹時血糖の正常値は110mg/dl以下としました。