NO.72
2008年12月 『頸動脈エコー検査について』
    東成区医師会理事 萩原 辰男


  頸動脈は左右の頸の側面にあり、心臓から出た血液を脳に送っている太い動脈です。動脈硬化の有無、動脈硬化の程度が、頸動脈をエコーで観察することで比較的簡単に短時間で判ります。動脈の壁は内側から内膜、中膜、外膜の三層構造になっています。このうち内側の二層の内膜・中膜を合わせたものを内膜中膜複合体(IMC)と呼び、この厚みを内膜中膜複合体厚(IMT)といいます。IMTの正常値は1.0mmまでです。IMTは加齢とともに少しずつ増えていきますが、通常は1.0mmを超えません。しかし脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病、高血圧症などの疾患があると動脈硬化が起こり、IMTが1.1mm以上になります。頸動脈は頸の上側で内頸動脈と外頸動脈に分かれますが、この分岐部が最も動脈硬化が起こり易い所です。動脈内膜が盛り上がったように変化したものをプラークといい、頸動脈エコー検査でIMTを測定し、プラークを観察します。異常所見がある人は動脈硬化が確実に存在しており将来、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞を起こしやすいとされています。動脈硬化を診断する検査はいくつもありますが、動脈の状態を手軽に診断できるのは頸動脈エコーのみと思います。

 10月23日に区民ホールにおいて東成区医師会健康展が開催されました。今年も多くの方が来場され盛況でしたが、頸動脈エコーの体験コーナーにもたくさんの方がみえられました。この体験コーナーでごく簡単に診ただけでも異常所見の有る方が少なからずおられました。高コレステロール血症で服薬をしている方は多いと思われますが、もしこの検査で明らかな異常が見つかった場合、もっとLDL-Cを下げる必要があるでしょう。検査結果で治療方針の変更もあり得ます。検査自体は観察のみであれば10分以内に終わります。脂質異常症、糖尿病、高血圧症の方はぜひ、この検査を受けていただきたいと思います。また、過去にコレステロールが高い、血糖値が高い、血圧が高いと指摘されたことがある方は決して放置しないでお近くの医療機関を受診するようにお願い致します。