NO.75
2009年3月 『こどもを受動喫煙から守ろう』
    東成区医師会理事 増田 清和


 受動喫煙という言葉を聞いたことがありますか。最近は喫煙をやかましく言いますが、受動喫煙については案外無関心なのではないでしょうか。受動喫煙とは自分は喫煙しないけれども、第三者が吸うタバコの煙を自然に吸ってしまうことを言います。これによる悪影響は喫煙しない人に対しても無論ですが、とりわけ成長期のこども達に対しては測り知れないくらい深刻です。

なぜなら、喫煙している人の煙(主流煙)よりも、周りでそれを吸わされる煙(副流煙)の成分の方が濃度が高いからです。タールやニコチンでは約3倍、一酸化炭素では約5倍というデータがあります。また、タバコの煙は直径1ミクロン以下の非常に小さな粒子で、煙が見えなくなったからといって、決して消失したのではなく、空気中に長く浮遊し、滞留しています。従って、閉め切った部屋で喫煙すれば、長時間それを知らず知らず吸ってしまうことになります。特にお母さんが喫煙者である場合、こどもは1日中吸い続けることになり、お父さんの喫煙よりも、お母さんの喫煙の方が悪影響が大きいという調査結果が出ています。

最近の研究では、こうしたこどもの受動喫煙によって、気道が過敏になり、気管支炎や肺炎になりやすくなること、また喘息を持っている場合では治りにくくなったり、悪化したりすること、さらに乳幼児突然死症候群(SIDS)(まだはっきりした原因は不明ですが、元気なこどもが突然呼吸不全を起こして死んでしまう疾患です)の一因になっていることが分かってきました。もう一つ付け加えておきたいことは、受動喫煙とは直接関係はありませんが、こどもの誤飲事故の第一位はタバコであることを忘れないようにして下さい。

以上のことから、どうかお父さん、お母さん方にお願いしたい。こどもの前では決して喫煙しないようにしましょう。どうしても喫煙したい時は、換気のよい場所を選んで下さい。また、妊娠中も授乳中も決して喫煙してはいけません。一番良いのは、できれば思い切って禁煙することです。喫煙は百害あって一利なしということを是非頭に刻み込んで頂きたいと思います。