NO.76
2009年4月 『新しいワクチン』
    東成区医師会理事 上原 泰夫


 病気を予防するために、ワクチンという薬を飲んだり、注射したりします。よく知られているワクチンとしては、ポリオ、三種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)、MRワクチン(麻疹:はしか、風疹:三日ばしか)、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチンなどがあります。

 最近では、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザ菌b型ワクチン(Hibワクチン)という2種類の新しいワクチンが使えるようになってきました。今回はこの2種類のワクチンについて解説したいと思います。

 肺炎球菌は肺炎の原因菌として最も重要で、その他、中耳炎や副鼻腔炎(ちく膿)などの原因にもなります。最近、抗生物質の効きにくい“多剤耐性菌”が問題となり、治療に難渋するケースもあります。肺炎球菌ワクチンを注射すると、少なくとも5年間は効果が持続するとされています。現在、日本では1回しか接種できませんので、接種対象者は、主に、高齢者になりそうです。他の疾患のある方も一部対象になります。このワクチンの接種は保険がきく場合と自費になる場合があります。詳しくは、かかりつけ医にご相談ください。

 インフルエンザ菌b型(Hib)は、髄膜炎、敗血症、肺炎などの原因となります(インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスとは別物ですので、ご注意ください)。

Hib髄膜炎は乳幼児が罹る重篤な疾患で、抗生物質による治療でも、約5%の方が死亡し、約20%の方に後遺症が残ります。厄介なことに、Hib髄膜炎の初期症状は発熱、痙攣、嘔吐などで、風邪や他の病気と症状が似ているため早期診断が困難なことが多く、ワクチンによる予防が重要と考えられています。Hibワクチンは2ヶ月齢以降から接種可能で、計4回の接種が必要です。現在、このワクチンは供給量が少なく、接種可能な医療機関は多くありません。また、全額自費となります。供給量が増え、かつ、公費での接種費用の負担が望まれています。

 日本においては、過去に、ワクチンによる副反応による後遺症が話題に上り、“ワクチンアレルギー”があるようですが、今後は、ワクチンによる積極的な、病気の予防が必要と考えられます。