NO.78
2009年6月 『前立腺肥大症について』
    東成区医師会理事 古武 敏彦


 高齢男性では尿が出にくい、トイレが近い、尿が残った感じがするなど排尿の異常を訴える人が非常に多い。この原因は脳梗塞の後遺症、神経因性膀胱など色々ありますが最も代表的で多いのが前立腺肥大症です。前立腺は男性のみにある臓器で、膀胱の出口で尿道を取り囲むようにあり、大きさは栗の実大(約 10g)で、精液を作っています。50歳頃より加齢と共に肥大し数倍から十数倍にもなることもあり、尿道を圧迫し排尿障害を起こすことになります。これが前立腺肥大症で、高齢男性の全員がかかる男性にとって宿命の病気です。しかし良性であり決して悪性化して癌になることはありません。特徴的な症状は、トイレが近く回数が多い(頻尿)、特に夜間に何回もトイレに起きる(夜間頻尿)、最初の一滴が出るまでに時間がかかる(排尿遅延)、尿の勢いが弱い(尿性低下)、おなかに力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)、排尿後に尿が残っている感じがする(残尿感)、残尿感がないのに尿が残る(残尿)、尿意をもよおすと我慢できない(尿意切迫感)、我慢できず尿が漏れてしまう(圧迫性尿失禁)、排尿の途中で尿が止まる(尿線途絶)、尿意はあるが尿が全く出ない(尿閉)などであります。これらの症状、程度、頻度などはそれぞれ異なり個人差が大きく、自分の症状の程度と頻度をチェックしておくことが大切です。診断は、症状についての問診、尿検査、直腸内指診、超音波検査、尿流測定、残尿測定、血液検査などで肥大の程度、排尿障害の程度などがわかり比較的簡単です。治療法は手術療法と薬物療法があり、症状の程度により選択されます。完全治癒には手術療法で、閉腹で肥大した「こぶ」を摘出する方法と尿道から切除(TUR−P)する方法がありますがTUR−Pが主流です。最近では有効な薬剤の開発により薬物療法が中心となっています。なお早期の肥大症では治療を必要としないものが多い。専門医とよく相談してください。