NO.8
2003年8月みんなの診察室より『重症急性呼吸器症候群‘‘SARS’’は終息?』
    東成区医師会理事  住本 公日乙
 
 中国、台湾などで大流行し、これまでに世界で8,458名以上の疑わしい患者と807名の死亡者(6月24日現在)が報告されている新型肺炎SARSですが、このところその勢いを落とし始めています。

 感染力が非常に強く重症化すると生命が危ぶまれるものの特効薬が無く、またワクチンもまだ生成されていない状況に世界中が震撼し、AIDS以来の恐怖に怯えていましたが6月に入ってから急速に新患が減少、伝播確認地域も6月24日現在でトロント、台湾の2地域までに減少しています。これは徹底的な「封じ込み作戦」が功を奏したと言えるでしょう。それにしてもこれほど早く沈静化するとは夢にも思っていませんでした。当時の勢いからすると日本に上陸あじのも時間の問題と言われていましたが、いまだに1例も報告例が無いのは不思議な気がします。5月にSARSに感染した台湾人医師が近畿各地を旅行した件は記憶に新しいところですが、このとき誰にも感染しなかったのは奇跡的なことではないでしょうか?(余談ですが、台湾人医師が宿泊した施設などは自主的に営業を停止するなど適切な処置を執っておりましたが、USJだけはそのまま営業を続けたようで、相変わらず危機管理が出来ていませんね。)

 このように終息しそうなSARSですが未だ治療法も確定しておらず、まだまだ油断はできません。もう一度、注意すべきポイントを整理しておきましょう。まずSARSとは、SARSコロナウイルスによる感染症でSARS患者と接した医療関係者や同居の家族など、患者の咳を浴びたり、痰などの体液に直接触れる等の濃厚な接触をした場合に感染し、最大10日間の潜伏期間を経て発症します。SARSが疑われるのは、10日以内に伝播確認地域から帰国、又は10日以内にSARS患者の体液に触れる等の濃厚な接触があった人で、38℃以上の発熱、咳又は息切れ等の呼吸器症状がある人です。こういった症状のある方は必ず事前に最寄りの保健所(大阪市の場合、阿倍野区旭町1−2−7−1000あべのメディクス 電話06−6647−0641 FAX06−6647−0803)または医療機関に電話で相談の上、指示に従ってください。予防法ですが、伝播確認地域から帰国した場合、帰国後10日間は人に会うのは最小限にし、やむを得ず外出する場合は必ずマスクを着用しましょう。ちなみにSARSコロナウイルスはエタノールや漂白剤等の消毒で死滅しますので患者が触れた物品を通してSARSが人に感染する危険性は非常に少ないとされています。

 SARSの影響で経済面の他スポーツの世界でも大きな影を落としています。1日も早くSARSが撲滅される日を待ち望んでいます。