NO.80
2009年8月 『抗うつ薬の使い方に関する問題点』
    東成区医師会理事 柴山 岳史


 うつ病の薬物療法において問題となっていることとして、抗うつ薬の使い方に関する問題があります。抗うつ薬を効果的に使ううえで重要なのは、抗うつ薬を充分に効果を発揮する量まで増量し、充分な期間使用することにありますが、一般科に限らず精神科においてもこれが守られていないことがあります。古いタイプの抗うつ薬(三環系抗うつ薬)では、その副作用の強さから充分に増量することがむずかしい場合もありましたが、近年登場した新しいタイプの抗うつ薬(SSRI・SNRI)では副作用も軽減されており、十分量の抗うつ薬を使用しやすい状況となってきています。それにも関わらず抗うつ薬の量が不充分で、満足な効果が得られないままとなっている場合があるのです。

うつ病の治療中に、服薬や環境調整を続けているにも関わらず症状がよくならないという場合には、さまざまな要因が考えられる中の一つとして、服用中の抗うつ薬が充分足りているのかどうかを、一度主治医に確認してみるのもよいかもしれません。

  なお、服用期間については、抗うつ薬は服用開始から効果が出てくるまでに約二週間かかり、さまざまな症状が改善するのには約二か月かかるといわれています。

抗うつ薬を増量する際には、副作用に対して注意が必要なことは事実ですが、必要以上に副作用を恐れるばかりでなく、抗うつ薬が充分にきかないデメリットも加味して、きちんと副作用への対処を行いながら、十分量を使用できるような検討を主治医と共にしていくことが大切です。