NO.81
2009年9月 『血栓症、塞栓症、梗塞症ってなに?』
    東成区医師会理事 岩本 伸一

「先生 血管が詰まる病気って 血栓、塞栓、梗塞っていろいろ名前がついてるけどどう違うの?」という質問を外来で受けました。今回はこれについて説明しましょう。

血栓症とは血管内に血の塊(凝血塊)が形成され血流をとめてしまった状態を指します。(脳血栓症、下肢の動脈血栓症など)。

塞栓症は血栓が発生した場所から血管内を流れて他の場所にたどり着いて血流を止めてしまった状態を指します。(肺塞栓症など)。

梗塞とは血栓症の結果、血流が及ばなくなり組織に限局性壊死が生じた状態を指します。(心筋梗塞、脳梗塞など)。

19世紀に有名なVirchowという人が血栓形成には3つの原因があると報告しました。すなわち 1)血管壁の性状の変化,2)血液成分の変化,3)血流の変化であります。

動脈に生じる血栓の多くは動脈硬化病変から生じますから1)が主な血栓症の原因となります。それに対して静脈に生じる血栓は2)や3)が主な原因となります。では血液成分の変化、血流の変化とは一体どのようなものでしょうか? 血液成分の変化とは 脱水、重症感染症、悪性腫瘍、経口避妊薬、脂質異常症、先天性血栓性素因などがあり、血流の変化とは心臓弁膜症、心房細動、静脈うっ滞(長期の臥床、エコノミークラス症候群、下肢の麻痺、下肢静脈瘤、外科手術など)があげられます。いずれにせよ血栓症は避けなければいけませんから、それぞれの病態で予防治療法は異なります。1)の血管壁の性状の変化は主に動脈硬化を予防すること つまり 糖尿病や喫煙、脂質異常(高LDLコレステロール血症や高中性脂肪血症)などの管理や薬としては抗血小板剤(バイアスピリンなど)が考えられます。2)3)の血液成分 血流の変化についてはまず原疾患の治療 そして血液が凝固しないように抑制する薬剤(抗凝固剤ワーファリンなど)が投与されます。疾患により使用される薬剤、予防法は異なりますから皆さん 不明な点があれば かかりつけの先生にご相談ください。