NO.86

2010年2月 『全身性強皮症』
    東成区医師会副会長 野中 志郎
 

 自己免疫疾患(膠原病)において慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)は代表的な疾患であるが、全身性強皮症も比較的頻度の高い自己免疫疾患の一つである(SSC)。免疫的機序により、T細胞などの治性化が起こり、サイトカインの産性異常、引き続くコラーゲンの過剰産生等を介して病態が形成される。その結果、小動脈の内膜の肥厚や皮膚、肺など種々の臓器の 線維性変化が起こり皮膚硬化や機能障害を引き起こすびまん型と限局型の2型に分類できる。

びまん型: 皮膚硬化は急速かつ広範囲に進行し重症の内臓障害を引き起こす。
   
限局型: 皮膚硬化は手など遠位部四肢や、顔面に限局し内臓障害の進行は緩やかで軽度である。

びまん型、限局型を問わず他の1つ以上の膠原病を合併する重複症候群として発症することもある。

【身体所見】

1. 皮膚病変
  皮膚硬化は手掌から対称性に躯幹部に広がることが多い。皮膚は硬く肥 厚しつまみにくくなる。血管病変としてレイノー現象が90%の患者でみられる。寒冷刺激で誘発され典型的には手指が白色、その後紫色、やがて赤色に変化する。血流障害により、指の先端に陥没性瘢痕や小潰瘍がみられる。又手掌、顔面、前胸部などに小斑点状の毛細血管拡張がみら れる。
   
2. 関節と腱
  多発関節痛が多く、腱の炎症、肥厚により関節の屈曲拘縮もしばしばみられる。
   
3. 内臓病変
  肺病変として、間質性肺炎、肺線維症が約半数にみられる臨床症状は乾性の咳や労作性の呼吸困難で、多くは慢性に経過するが、ときには呼吸 不全となる。
消化器病変として、食道蠕動の低下がみられる。このため食物が胸につかえたり、逆流性食道炎が起こりやすい。腸管にも同様の変化がみられ下痢、便秘、ときに呼吸障害を引き起こす。
膠原病としてときに強皮症腎が発症する。
心病変として心筋の線維化による伝導障害や心不全がみられることがある。
   

【検査所見】

1. 免疫学的検査(血液検査)
  抗核抗体は大部分陽性で蛍光抗体法で斑紋型あるいは核小体型を呈することが多い。
   
2. 画像検査
  間質性肺炎、肺線維症は、胸部X線、胸部CT検査にて独特の陰影を呈する。又消化管造影にて食道蠕動の低下、食道下部の拡張がみられる。

【治療法】

薬物療法と生活指導があります。詳細は紙面の都合上、割愛させて頂きます。