NO.88
2010年4月
 『メタボリックシンドローム(内臓肥満症候群)の診断基準について』
    東成区医師会理事 福 川 隆
 

 メタボリックシンドロームの診断基準として、男性の腹囲が85cm、女性は90cm以上が必須でそれ以外に血圧130/85mmhg、空腹時血糖110mg/dl、中性脂肪150mg/dlかつまたはHDLコレステロール40mg/dl以下の2項目以上あれば該当すると平成17年決定されました。それを受けて平成20年からメタボ対策を目的に特定健診保健指導が全国的に始まりました。最初から議論の的になっていたのが腹囲の件でした。世界と比べて、日本だけが女性の方が腹囲が大きいのですが、長年の研究で内臓脂肪が100cm2を超えると心筋梗塞など発症の危険率が増すのがわかっており、そこのところの腹囲が男性では85cm、女性は皮下脂肪が多いので90cmが採用されたのです。
 ところが最近厚生労働省の研究班は、3万人を超えるデータを解析したところ男性の腹囲80cm以上はそれ未満と比べて1.48倍心疾患の発症率が高い、85cm以上では1.56倍、90cm以上は1.62倍と腹囲が増えるに連れて危険率は高まっていて、腹囲の重要性は示されたが最適値を決めるのは困難と発表しました。女性もほぼ同じ結果です。
 これはデジタルとアナログの違いと思います。人間の体というのはすべてデジタルみたいに簡単に割り切れるものではありません。腹囲が男性で84cmだからメタボでないとかいうこと自体がおかしいのであって、いろんな事を総合的に判断しなければならないのです。血糖値でも血圧、コレステロールに関しても同じことが言えます。検査値でも正常範囲というのはほぼ95%の人がその中に入りますが、残りの人でももちろん正常な人はいます。体温も37度超えると熱があると判断することが多いですが、平熱が35度の人では36.5度でも高熱がでたと思うでしょうし、37.2度くらいでも平気な方も居られるのです。そこの判断を取り違えることによって誤解、混乱が生じています。
 去年国際糖尿病連合は腹囲は必須項目ではなく、ひとつの判断項目であって、血圧、血糖、コレステロールなどと同列に扱う統一基準を発表しています。日本としてこれからメタボリックシンドロームの診断基準は携帯電話のようにガラパゴス化してしまうのか、国際標準に合わせるのか今後の行方が注目されます。
 いずれにせよ肥満が病気の素になりやすいので、素食で行きましょう。戦争時代の食糧難が証明しております。食べ過ぎはよくありません。みなさん「腹八分目」を守りましょう。