NO.89
2010年5月 『むねやけ「逆流性食道炎」』
    東成区医師会理事 野﨑 俊一
 
 「むねやけ」…よくある事だから心配ない、と思っていませんか?たびたび起こ る、程度がひどい、時々胸も痛むなどの症状があれば早めの受診をお勧めします。 ひょっとすると「逆流性食道炎」かもしれません。

 「逆流性食道炎」は、強い酸性の胃液や、胃で消化される途中の食物が食道に逆 流してとどまるために食道が炎症を起こし、びらん(ただれ)や潰瘍を生じる病気です。胃から食道への逆流を防ぐ仕組みが働かなくなったり、胃酸の分泌が増えす ぎる事が要因です。
 ・むねやけが1カ月以上続く。
 ・胃もたれ、胸の痛み、喉に違和感がある。
 ・酸っぱい胃液がこみあげてくる。
 ・食べ過ぎた時、脂肪の多い食事や香辛料のきいた食事をとった時に
  「むねやけ」がひどくなる。
こんな症状に思い当たったら内科、胃腸科、消化器科を受診するとよいでしょう。 検査は内視鏡検査、食道内PHモニタリングなどがあります。
 逆流性食道炎は食道裂孔ヘルニア(胃の一部が横隔膜を超えて胸腔内に脱出する 状態)と密接に関係し、
 ・脂肪の多い食事をとる人
 ・高齢者(下部食道括約筋の機能低下)
 ・肥満の人(食道裂孔ヘルニアになりやすい)
 ・妊娠している人
 ・背中が曲がっている人(腹圧で胃酸が逆流しやすい)
などがかかりやすいと言われています。
 治療としては生活習慣の改善と薬の服用(胃酸の分泌を抑える、プロトンポンプ 阻害薬(PPI)、H2 ブロッカーなど)が中心となりますが、食道裂孔ヘルニアを合 併し長い間薬を飲み続けても再発が繰り返される場合には手術が必要になります。
 この病気は日本では欧米に比べて少ないと言われていましたが、高齢化、食生活 の変化、肥満の増加などに伴い近年増えてきています。無理のないライフスタイル の改善を心がけて再発しないよう注意しましょう。