NO.90
2010年6月 『安心散歩道の交流拠点「パトリ」の誕生』
    東成区医師会理事 中村 正廣
 
 ご自分は、まだまだ認知症や要介護の高齢者にならないとお思いですか?
 東成区は高齢者の割合が高く、特に、今里地区には多くの独居高齢者や認知 症の方が、慣れ親しんだ商店街の周りに暮らしておられます。しかし、これら の方々の生活状況は何らかの介護や見守りが必要であり、住まいも戦前からの 長屋などにお住まいのため医療・介護、さらには防災にも対応できていないこ とから、孤独死や失火による悲惨な状況に会うのが現状です。私は、クリニッ クに併設して有料老人ホームを開設して10年になります。お元気な間に移り 住んでいただき、認知症や要介護になっても住み続けられる仕組みを提案し、 安心安全の住まいづくりが重要であることを経験しました。その経験から、日 常の買い物や友人・知人との交流の場として、今里商店街に空き店舗を改造し て広く解放される交流拠点(愛称を「パトリ」と名付け、「愛郷心」の位置づけ を込めています)が必要と思いました。そこには、商店街を当てもなく歩いて おられる認知症の方や高齢者などの話相手となる「話の友」がいて、交流拠点 を利用されるボランティアのまとめ役としての「地域コーディネーター」が常 駐します。昨年、その場が井戸端会議の場で高齢者や児童などの多世代が交流 する「パトリ」となり、高齢者の生活状況などの情報を汲み上げる「場」にす る提案を大阪市に提案しましたところ、建設費などの補助をしていただくこと となりました。3月には「パトリ」の開業に向け建設が始まって6月にはオー プンします。この2階には介護事業者が常駐し、その情報はこの介護事業者か ら町内会や介護者、看護師、そして「かかりつけ医」に繋げられ、その方の在 宅生活に大きな支援とします。また、災害時や防犯にも役立つ「介護・住宅・ 防災のための町づくりネットワーク」が作られ、「徘徊ネットワーク」の役割も 兼ねた町内会や区内の横断的な情報共有をすることにより、住まい方や住居の 状況が把握できるものと思います。その延長線には、慣れ親しんだ商店街の周 辺に、長屋などの改造で安価で安心して住み続ける「住まい作り」が始まり、 近い将来予想される施設や病院に入れない他人ごとではない介護難民の方々が、 この地で生涯を過ごす町づくりになると思います。そして、このような活動か ら、シャッター通りの商店街には、若者も戻り活気が出て「商店街の再生」が 始まるものと期待しています。