NO.94
2010年10月 『家族みんなで食育を実践しよう』
    東成区医師会理事 増田 清和
 
 『食育』という言葉を聞かれたことがありますか。私も誰が作ったことばなのか知らないのですが、昔から知育・徳育・体育と呼ばれているのにならい、最近新たに食の教育がそれらに加えて必要であるという認識ができてきたことによって作られた造語です。別に難しいことではなくて、毎日食べているものを見直してみようということです。
 そのような認識に立って、平成17年6月10日に食育基本法という法律が成立し、政府自ら食育に取り組んでいくことになりました。この法律の中で『食育』を生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるべきもので、様々な経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることと定めています。この主旨に沿うなら、学校とくに小学校・中学校における教育において、食育が知育・徳育・体育に先立つものであって、非常に重要な位置を占めるものと考えなければならないことになります。
 といっても、教育の現場ではまだまだ食育に時間をかけることは難しいようです。それよりも家族の中で食育を実践してみてはいかがでしょうか。というよりもむしろ、家族が主体となって食育を進めていくことこそ、真の意味で食育が根付いていくことではないでしょうか。なぜなら、食育は単に栄養学的な問題を把握するだけではなくて、家族の絆や国の伝統的な食文化をも視野に入れているからです。
 さて、現代の子供の食生活の問題点を幾つか列挙してみましょう。①朝食を食べない子が増えている。②間食・夜食が多い。③家族の食事のだんらんがない。④魚類ではなく肉類が多い。⑤加工食品やインスタント・スナック類が多い。⑥偏食が多く、かまずに食べられる物を好む。といった点が挙げられます。これは子供に限らず、成人にも共通した問題と言えます。最近、メタボリック症候群がクローズアップされることが多く、国民に注意を喚起しているところですが、これを理解し、自覚していく意味でも食育は不可欠な知識になるでしょう。これらの問題を解決していくには、まず家族全員が欧米化した食事を伝統的な『和食』に切り替えていくことから始めてみてはいかがでしょうか。