NO.97
2011年1月 『前立腺がんについて』
    東成区医師会理事 古武 敏彦
 
 前立腺がんは従来、欧米人に多く、日本人やアジア人には少ないとされていました。しかし、最近日本で急激に増加し大きな話題になっています。前立腺がんは50歳以下では非常に少なく、60歳位から多くなり、加齢と共に急激に増加する典型的な高齢男性のがんです。日本での増加の原因として、社会の高齢化、食生活(動物性高脂肪と高蛋白)や性習慣など生活様式の欧米化、そして腫瘍マーカーの導入による診断法の進歩などがあげられています。今後、増加は益々加速すると予想されています。
 前立腺の病気では、尿の出が悪い、トイレが近いなどの症状がよく知られていますが、これらは前立腺肥大症によることが多く、前立腺がんの初期には自覚症状が全くないのが特徴です。肥大症とがんは全く異なる病気で肥大症が悪化してがんになることはありません。しかし、肥大症の検査中にがんを発見することが多く、早めの検査をすすめます。
 前立腺がんの診断には、まず問診、腫瘍マーカーのPSA(前立腺特異抗原)の測定、直腸内指診、超音波検査の3つを組み合わせて行います。徳にPSA検査は簡単で採血のみで測定でき、精度も高く、特に早期がんの発見には最も大切です。PSAの基準値は4.0mg/mlで、4.0以下ではー応陰性、10.0以上は陽性とされ、4.0から10.0の間では疑いありで、なお注意深い経過観察が必要です、この結果がんが強く疑われる場合は、前立腺組織の1部を取り顕微鏡で検査する針生検を行い、がん細胞を確認してはじめて前立腺がんと診断されます。同時にがんの性質(弱いがんが強いがんか)も判定できます。さらに、MRI、CT、骨シンチなどの検査でがんの拡がり(病期:早期、中期、進行がん)を診断します。
 前立腺がんの治療はがんの病期、性質、年齢などで決められます。治療法には、手術、放射線療法、ホルモン療法などがあります。一般的に、70歳以下の早期がんには手術か放射線療法、高齢者や進行がんにはホルモン療法、中期がんにはこれらの併用療法が選択されます。早期がんの治療成績は非常に良好で、完全に治すことが可能です、前立腺がんでは早期発見が最も大切で、このためには50歳を過ぎた男性は年1回はPSA検査をすることが大切です。