NO.98
2011年2月 『モヤモヤ病(ウィルス動脈輪閉塞症)』
(別名:脳底部異常血管網症)
    東成区医師会理事 長谷川 宗吉
 
 モヤモヤ病は、日本人に多い、原因不明の疾患です。脳底の内頚動脈末梢から、前および中大脳動脈起始部にかけて閉塞を生じ、代償的に、その周囲に異常血管網が形成されます。レントゲン検査のMRA(脳血管造影)の所見にて、異常血管網がモヤモヤとみられることから、この病名が付けられました。
 同病患者の半数は5歳前後の小児にみられ、脳虚血発作(TIA)や脳梗塞をきたします。激しく啼泣する、熱い食物を冷ますために息をふきかける、管楽器を吹く・・・といった、深呼吸を伴う動作が発作を誘発するほか、長風呂をすることによっても発作が起こります。
 残り半数の患者の中では、30代の成人に多く、小児と違って梗塞よりも頭蓋内出血の方が起こりやすいようです。頭痛、手のしびれ、言語障害、てんかん、四肢麻痺、知能障害などが徐々に増悪してゆくという、予後不良の疾患であります。
 治療は、薬物療法としては、血管拡張剤や血小板凝集抑制剤、抗痙攣剤などの投与を行います。また、外科的療法としては、脳末梢への血流保持のために、血行再建術として、外頚動脈の枝である浅側頭動脈と内頚動脈の枝である中大脳動脈皮質枝との吺合術を行います。小児患者の場合、新生血管の出現が顕著なため、時には、前述の吺合のみでなく、側頭筋を脳表面にかぶせる接着術を併用することにより、さらに効力を高めます。
 いずれにしても、予後不良の疾患であることは否めません。出来るだけ早期に発見すること、そして早期に治療することが望ましいでしょう。