NO.99
2011年3月 『心房細動について』
    東成区医師会理事 福井 栄一
 
皆さん心房細動という不整脈をご存知でしょうか。心臓は心房と心室に分けられていて、交互に動き、通常は1分間に60〜80回程度規則正しく動きます。これが心房細動になると、心房が震えた状態になり(実質ほとんど動いてないと考えてください)、心室がランダムに動き、脈がバラバラになる状態となります。この心房細動という不整脈は当初は発作的におきますが、やがて慢性的になります。小さな発作を含めると70代以上の方の20〜30%に認められます。心房細動で最も怖いのは、大きな脳梗塞(脳塞栓)を起こすことがたびたびあること(年に数%)です。元巨人軍の長嶋監督や元首相の小渕さんもこのため、半身不随やお亡くなりになりました。この原因は、心房細動になると心房が動いていない状態となるため、心房の中で血液が乱流を起こし血の塊(血栓)を作ってしまうことにあります。これが血液の流れに乗って、脳をはじめとする大事な臓器への比較的大きな血管を閉塞してしまうことでおきます。しかしこの血栓症は、現在のところ「ワーファリン」という薬でかなり予防できます。血液が固まるときには凝固因子というタンパク質が必要となりますが、これは肝臓でビタミンKを使ってつくられます。ワーファリンはビタミKの働きを阻害して、血液を固まりにくくします。皆さんも血液をさらさらにする薬を飲むときには、納豆・クロレラ・青汁を摂ってはダメという話を聞いたことがあるかもしれませんが、これはこれらの食べ物にビタミンKが多く含まれているからです。ワーファリンは人によって適量が異なります。これは血液検査で決定されますので比較的頻回の血液検査が必要となりますが、是非治療することをお勧めします。また今春には容量調整(全員1日2回投与)不要・食事制限不要の新薬が発売される予定です。皆さんでも自分の脈が乱れていると感じたときは、治療必要な不整脈かどうかを、かかりつけの医師に相談してみてください。