「新型コロナウイルスで思うこと」ストレスと心臓の病気(令和3年新年号)

福田診療所 福田祥大

 令和2年は新型コロナウイルス感染(以下、コロナ)の話題が多い一年でした。コロナは感染した人が肺炎などをおこし、身体を悪くする病気です。一方、感染してない人でも問題となることがあります。精神的なストレスです。コロナによって変化した生活や環境は、心のストレスとなって精神状態を悪くします。例えば、怒りっぽいなどの性格の先鋭化、抑うつ気分などです。私は精神科が専門でなく、内科、特に循環器内科(心臓の病気)が専門なので、本稿では精神的ストレスと心臓の病気について書きたいと思います。
 まず、ストレスから心臓の病気になることです。精神的なストレスは血管が硬くなる病気(動脈硬化)による心臓の病気、狭心症や心筋梗塞と強く関連しています。つまり、精神的ストレスは血圧や血糖を悪くします。また、精神的ストレスは動脈硬化の進行を表す指標である血管内皮機能を直接的に悪くします。一方、心臓の病気が精神的ストレスを起こす点にも注意がいります。一度でも重い心臓の病気を経験すると、病気自体に関する不安だけでなく、病気や就労に関する不安も生じます。実際、職場や仕事内容の変更を余儀なくされる場合もあり、さらに精神的ストレスが増えます。
 精神的ストレスを軽くするためには、①しっかり眠る、②適度に運動する、③お酒やたばこに頼らない、④楽しい情報(好きな音楽や映画、読書、匂いなど)を増やす、など身体や心を元気にすることが大切です。実際、好きな音楽を聴くと心拍数や血圧が下がり、交感神経活性が低下し、前述した血管内皮機能が良くなることが報告されています。アロマセラピーも血管内皮機能を良くします。ぜひご活用いただければと思います。また、不安感や焦りをあおる情報にまどわされず、正確な知識を身につけることも大切です。この点については、我々医師がお手伝いできることもあると思います。最後になりますが、本稿が掲載される頃コロナがどうなっているかわかりませんが、感謝の心を忘れず皆様とコロナを乗り切っていきたいですね。