『こむら返り』(令和6年8月-9月号)

東成区医師会理事 住本公日乙

 誰でも何度か、こむら返りを経験したことはあるでしょう。私も以前はよくこむら返りを起こし悲鳴を上げたものです。今でもたまに起こしそうになりますが、対処方法を知っていますので回避できています。それは後ほど。
 こむら返りとは、ふくらはぎなどの筋肉が急に攣って激痛が走る病気です。寝ているときなどに起こりやすく、高齢者・女性に多いと言われています。運動中、運動後では若い人でも起きることがあります。原因としては、ミネラル不足、水分不足、筋肉疲労、血行不良、体の冷え、妊娠、加齢などが考えられます。
 頻回にこむら返りを繰り返す場合は下肢の血行不良(閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤など)や脱水、糖尿病、腰部脊柱管狭窄症などの疾患も疑う必要があります。当院の患者さんで閉塞性動脈硬化症の治療を受けてからこむら返りが起こらなくなったと喜ばれている人がおられます。
 さて、こむら返りが起こってしまったら、応急処置としてふくらはぎの筋肉を伸ばします。床に膝を伸ばして座り、足先を両手でつかんで手前にゆっくり引き寄せ、ふくらはぎの筋肉を伸ばします。急に伸ばすと筋肉を痛めることがありますので、ゆっくりと伸ばすことが肝心です。また、芍薬甘草湯という漢方薬が即効性もあり有効です。中には予防のために毎日内服されている患者さんがおられますが高血圧、低カリウム血症などの副作用もありますので常用は注意が必要です。
 予防策としてはミネラル(特にマグネシウム)を十分摂取すること、水分補給、そしてなにより大事な事はストレッチとマッサージです。毎日ストレッチをやり、入浴時にマッサージをするとかなり効果的です。
 明け方、ふと目覚めたとき、伸びをしたくなることがありませんか?この時、つま先をピンと伸ばしてやってしまうとこむら返りを起こす確率が非常に高くなってしまいます。私も時々うっかりつま先を伸ばして攣りかけることがありますが、直ぐにつま先を手前に戻すことでスッと戻ります。明け方、伸びをしたいときは必ずつま先を顔の方に向けてするようにしましょう。