「おねしょ(夜尿症)のお話」(令和6年10月-11月号)
東成区医師会理事 目黒 則男
泌尿器科におねしょの相談が多くなるのは、修学旅行などが始まる前の季節でしょうか。生活習慣にまず注意いただければと思いますが、その前に簡単におねしょの仕組みがわかると理解しやすいのでお付き合いください。
おねしょは、膀胱にためることのできる尿の量よりもたくさんの尿が寝ている間にたまることでおこります。大人は眠りが浅いので尿意で目が覚め排尿しますが、子供は深く眠っていますので尿意では簡単には目が覚めず無意識のうちにおねしょをしてしまいます。深く寝た酔っ払いがおねしょをする感じです。だんなは怒られて当然ですが、子供は成長の過程なので怒らないことが大切です。成長とともに膀胱も大きくなり、眠りも浅くなるので、夜尿症はほぼ治ってしまいます。
ところで膀胱にためることのできる尿量は(年齢+2)×25(ml)で計算されますので、6歳だと200ml、10歳だと300mlとなり、それなりの大きさですが、子供は大人に比べて飲んでから尿になるまでの時間が短く、3時間以内です。したがって、寝る前3時間以内の飲水量が多いと当然夜間の尿量は増えますし、意外と食事も水分ですので、食事時間が遅いと、夜間の尿量は益々多くなります。
お勧めできる生活習慣の目標は例えば以下のようになりますが、どうしたら継続できるかの工夫はお母さんにお任せしまので、よろしくです。
- 夕食を早めに食べる
- 寝る前3時間の水分を控える
- 寝る前にトイレにいく
- 朝起きたらすぐにトイレに行くなどです。
おねしょの発症率は、小学校に入学した時点で15%ぐらい、中学入学時で1-2%とされますが、多くは年齢とともに改善されますので、ご安心ください。ただ、あまりにはげしい、継続するおねしょ(夜尿症)は、器質的な疾患によることもありますので、お気軽にご相談ください。